
政治と経済が密接に絡まる時代にあって
「政治と経済が密接に絡まる時代。そういう大事な時に、政治が不安定になり、決められない政治になっては本当に大変だ」
某経済リーダーは、こうした思いを吐露する。
これまで26年間続いた自・公連立政権から公明党が離脱することになり、政界はもちろん、産業界にも衝撃が走った。自由民主党の新総裁に、高市早苗氏の就任が決まったのは10月4日。それから1週間も経たない中での、公明党の政権離脱である。
公明党が離脱する最大の要因として挙げたのは『政治とカネの問題』。これについて、自民党が公明党の望む段階まで回答を寄せなかったことだと説明。
関西国際大学客員教授・毛受敏浩【問われる日本の骨太戦略づくり】 外国人労働者の受け入れ
ともあれ、政治は一気に流動化。今後、高市氏が国民民主党や日本維新の会などに連立を呼びかけ、比較第一党として政権を取りに行くのか、あるいは比較第二党の野党・立憲民主党が国民民主や維新、さらには参政党、れいわ新撰組、さらには日本共産党まで巻き込んで野党大連合で政権を取りに行くのか。この2つの流れを基本軸に、政界は再編の方向で動くことになるとの予測が強い(原稿執筆は10月14日)。
問題は、世界の政治経済情勢が、米国による米国第一主義・高関税策などの影響を受け、先行き不透明な情勢が続いていること。イスラエルとイスラム軍事組織ハマスとの停戦は実現したものの、ウクライナ戦争は未だ続く。その他の地域でも紛争が勃発している現状において、日本はこれから針路をどう取るか。
今は重要な分岐点にある。
日本は人口減・少子化・高齢化という流れの中で今、もがいているところ。地方の過疎化が進み、同時に首都圏への人口集中が進む。このアンバランスの中で、少子化・高齢化が進み、例えば、膨れ上がる社会保障費(医療・年金・介護)の膨大な費用を誰が負担するかという課題も抱える。
失われた30年からの脱却を目指し、第二次安倍晋三内閣(2012年12月~20年9月まで)で、金融・財政政策の出動により脱デフレを実現したものの、肝心の〝民間企業による成長〟はまだ十分に軌道に乗っていないのが現状。
日本の潜在成長力は0.6%と、まだ低い。GDP(国内総生産)では世界4位ながら、一人あたりGDPでは38位まで低下。これはD7(先進7カ国)の中で最下位であり、韓国(33位)、台湾(37位)も下回る。世界の中の存在感が薄まる中で、日本をどう再生するかという命題である。
日本の進むべき針路を政治家は語る時
今は、『国のカタチ』をどう決めるかという大事な時である。憲法、外交・安全保障、そして、経済成長などの基本政策をどう位置付けるのか。日本は今、非常に重要な局面にある。
こういう時に、政界では単なる数合わせで「首相が誰になるのか?」という話題が先行。首相に推されるようなリーダーは「日本をこんな国にする」というビジョンや針路を語るべきだが、そうした基本軸に関する議論や提言がないまま、「次の首相は誰か?」という話題ばかりが先行している。
ここは当の政治リーダーだけではなく、政治家を選ぶ側の国民の意識も問われている。
政治が流動化し、価値観が多様化している背景には、「社会の個人化がある」と語るのは、中央大学教授(政治学)の中北浩爾氏。「国民が減税を求めているからと言って、それをただ聞くようではいけない。そのことの自覚を政治家が持っていないと、ポピュリズムの誘惑にかられて流され、国が滅び、国民が路頭に迷うことにもなりかねない」と語る。
個人が自由に生き方・働き方を選択し、自分らしさを追求しようとする。その反面、人と人とのつながり、人と社会とのつながりが希薄になり、下手をすれば、社会の流動化をまねき、そこから弊害も生ずる。
そうした状況の中で、日本の課題、進むべき針路を政治家は覚悟を持って決める時だ。