デル・テクノロジーズは10月22日、「Dell AI Data Platform」の機能強化について発表した。これにより、分散してサイロ化されたデータを、より迅速に信頼性の高いAI成果に変えられるようになるという。

  • 「Dell AI Data Platform」を機能強化する

    「Dell AI Data Platform」を機能強化する

AIの利用が加速しデータが増加する中、組織は分散してサイロ化されたデータを実用的なインサイトに安全に変換できるプラットフォームを求めている。これに対し「Dell AI Factory」の重要なコンポーネントである「Dell AI Data Platform」は、散在するデータサイロから価値を創出するために、オープンなモジュール式基盤を提供する。

データストレージを処理から切り離すことでボトルネックがなくなり、トレーニング、ファインチューニング、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)、推論などのAIワークロードに柔軟に対応できるようになるとのことだ。

NVIDIA AI Data Platformリファレンス デザインと統合された「Dell AI Data Platform」は、スマートなデータ配置とシームレスなデータ移動を実現するストレージエンジン、データを実用的なインサイトに変えるデータエンジン、組み込み型のサイバーレジリエンシー、データの管理サービスの4つを構成要素とする。

「Dell AI Data Platform」のストレージエンジンがAIパフォーマンスを発揮

「Dell AI Data Platform」のストレージエンジンである「Dell PowerScale」と「Dell ObjectScale」は、AIデータに不可欠なパフォーマンスやセキュリティ、およびマルチプロトコルアクセスを提供する。「PowerScale」はトレーニング、ファインチューニング、推論、RAGパイプラインなどのAIワークロードに、NASのシンプルさと並列パフォーマンスを提供する。

「PowerScale」はNVIDIA GB200とGB300 NVL72の統合と継続的なソフトウェアアップデートにより、信頼性の高いパフォーマンス、大規模環境でのシンプルな管理、アプリケーションやソリューションスタックとのシームレスな互換性を実現する。

「PowerScale F710」は高性能ストレージのNCP(NVIDIAクラウドパートナー)認定を取得しており、1万6000台以上のGPU規模環境において、競合製品と比較して最大で5倍程度少ないラックスペース、88%少ないネットワークスイッチ、最大72%低い消費電力で運用が可能だとしている。

  • 「Dell PowerScale」

    「Dell PowerScale」

また、オブジェクトプラットフォームの「ObjectScale」は、大規模なAIワークロード向けに、パフォーマンスが高くスケーラブルなS3 ネイティブ オブジェクトストレージを提供。「ObjectScale」はアプライアンスとして、または「Dell PowerEdge」サーバで利用可能な新しいソフトウェア デファインド オプションとして提供され、前世代のオールフラッシュ オブジェクト ストレージよりも最大8倍高速化を果たしている。

S3 over RDMAのサポートは、まもなくテクニカルプレビューに入るという。従来のS3と比較して、スループットが最大230%向上、レイテンシーが80%低下、CPU使用率が98%低下している。

大規模デプロイメントにおけるスモールオブジェクトのパフォーマンスと効率性の向上により、10KBオブジェクトのスループットが最大19%向上し、レイテンシーが最大18%低下している。

AWS S3とのより緊密な統合とバケットレベルの圧縮により、大量のデータを保存、移動、使用するためのより優れたツールを開発者やデータサイエンティストに提供するとしている。

  • 「Dell ObjectScale」

    「Dell ObjectScale」

「Dell AI Data Platform」のデータエンジンはリアルタイムAIを強化

今回の機能強化では、データエンジンの拡張も実施。データエンジンは、「Dell AI Data Platform」にあるAIデータの整理、クエリ、活用のために特化されたツール。デル・テクノロジーズのデータエンジンは、NVIDIA、Elastic、Starburstなどの信頼できるAIリーダーと協力して構築されている。

Elasticと共同で開発された新しいデータ検索エンジンは、ユーザーがまるで質問を投げかけるように自然な操作でデータにアクセスでき、迅速な意思決定を支援する。RAG、セマンティック検索、生成AIパイプラインなどのタスク向けに設計されており、MetaDataIQと呼ばれるデータ ディスカバリーソフトウェアと統合することで、「PowerScale」や「ObjectScale」に保存された数十億件のファイルを詳細なメタデータをベースに検索できるようになる。

開発者はLangChainなどのツールとこのエンジンを組み合わせ、よりスマートなRAGアプリケーションを構築可能。また、更新されたファイルのみを取り込むことで、コンピューティング時間を節約しながら、ベクトルデータベースを最新の状態に保てる。

Starburstと共同で開発されたデータ分析エンジンにより、スプレッドシート、データベース、クラウドウェアハウス、レイクハウスにわたるシームレスなデータクエリが可能となる。新しく組み込まれた「Dell Data Analytics Engine Agentic Layer」は、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)によるドキュメント自動化、インサイト抽出、AIのSQLワークフローへの組み込みを提供し、生データを数秒でビジネスレベルの製品に変換するという。

また、ベクトルストアへのアクセスも統合され、Iceberg、デル・テクノロジーズのData Search Engine、PostgreSQL + PGVectorなどにまたがるRAGや検索タスクも可能。エンタープライズグレードのAIモデルの監視とガバナンスは、AIの使用状況の追跡、監査、制御に役立つとのことだ。新しい「MCP Server for Dell Data Analytics Engine」により、マルチエージェントとAIアプリケーションの開発を支援する。

「Dell AI Data Platform」とNVIDIA cuVSの統合は、エンタープライズ企業のAI環境におけるベクトル検索のパフォーマンスとターンキー型の導入に、次の大きな飛躍をもたらすとしている。

この統合により、GPUアクセラレーションによるハイブリッド(キーワード+ベクトル)検索がデータ検索エンジンにもたらされ、オンプレミスでの完全な制御を維持しながら、より迅速かつ効率的なインサイトが得られるようになる。

NVIDIA cuVSとデル・テクノロジーズのセキュアなインフラストラクチャを利用することで、ITチームは完全に統合されたターンキーソリューションを活用して、GPUを利用した検索をすぐに導入および拡張可能だ。