三菱電機は、パワー半導体を用いた大容量電力変換システムの技術提携に関して、台湾販社の台湾三菱電機と共に、ITRI(工業技術研究院)と基本協定を締結したと10月15日に発表。再生可能エネルギーで発電した電力を効率的に変換する技術を普及拡大させ、GX(Green Transformation)の実現に寄与するとしている。

  • (左から)ITRI グリーンエネルギー・環境研究所 副所長の梁佩芳氏、ITRI 副院長の胡竹生氏、ITRI グリーンエネルギー・環境研究所 所長の劉志文氏、三菱電機 パワーデバイス製作所 所長の末次英治氏、台湾三菱電機 電子事業部 事業部長の渡邉良孝氏、三菱電機 半導体・デバイス第一事業部 事業部長の楠真一氏

    (左から)ITRI グリーンエネルギー・環境研究所 副所長の梁佩芳氏、ITRI 副院長の胡竹生氏、ITRI グリーンエネルギー・環境研究所 所長の劉志文氏、三菱電機 パワーデバイス製作所 所長の末次英治氏、台湾三菱電機 電子事業部 事業部長の渡邉良孝氏、三菱電機 半導体・デバイス第一事業部 事業部長の楠真一氏

三菱電機と、台湾地域の販売会社である台湾三菱電機(Mitsubishi Electric Taiwan)、ITRI(Industrial Technology Research Institute)の3社はこの協定の枠組みのもとで、三菱電機が保有する高効率パワー半導体モジュールと、ITRIがもつ大容量電力の効率的な変換技術、台湾三菱電機のマーケティング力といった各者の知見と強みを結集。三菱電機のパワー半導体モジュールを搭載したメガワット級の「電力変換システム」(PCS:Power Conversion System)を共同で試作し、実証実験に取り組む。

三菱電機と台湾三菱電機はこの活動を通じて、パワー半導体モジュールを効果的に使用したPCSの設計情報や、実証実験から得られた試験結果をユーザーへ参考情報として提供することで、PCS向けパワー半導体モジュール事業のさらなる拡大をめざす。

ITRIは、三菱電機のパワー半導体モジュールを含むPCSの構築に関する設計書、実証実験から得られた試験結果を台湾のPCSメーカーへ参考情報として提供し、関連分野の台湾企業に対し製品開発を支援する。

近年、脱炭素社会の実現に向け、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入が世界的に拡大しており、これに伴って、発電した電力を使用するために直流と交流の電力変換を行うPCSの需要が拡大。なかでも、メガソーラーなどの大規模システムで発電した大容量の電力を効率的に使用するためのメガワット級PCSの需要が高まっている。

三菱電機は、こうした発電・蓄電・送配電システムのPCSに使われるパワー半導体において、高い信頼性と大容量の電力変換を高効率に実現するパワー半導体モジュールを長年提供しており、厳しい環境条件下でも安定した性能を発揮することで、世界中で豊富な市場実績があるとアピール。

ITRIは、持続可能な環境の実現を目指し、「循環経済」「低炭素製造」「再生可能エネルギーシステムおよび環境技術」の3分野で開発を推進している。その中で、大容量電力を使用する発電・蓄電・送配電システムを構築する技術に関する高度な知見と強みを有し、これまでに多くの台湾企業の創設や育成、技術提供を通じて産業発展に貢献してきた実績があるとしている。