20社と連携し、自動運転にも注力 トヨタの「ウーブン・シティ」が始動

サンプルやボタンのないダイドードリンコの自動販売機、ジャンクフードの印象を払拭するカロリーなどを抑えた日清食品のハンバーガー、最大10キロの荷物を自動で運ぶトヨタ自動車東日本の自律走行ロボット……。

 トヨタ自動車が社運をかける〝実験場〟が始動した。静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本旧東富士工場跡地に建設した実験都市「ウーブン・シティ」が始動した。キーワードは「カケザン」(会長の豊田章男氏)だ。

 このカケザンに向けてトヨタグループ12社に加え、ダイキン工業やダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングス、インターステラテクノロジズ、共立製薬などが参画。参画の背景には「長期間に渡り実際に生活している中で、欲しいデータを取得・分析し、それをデジタルにもリアルにも反映していけるフィールド、というまさに理想の環境」(ダイキン)という点がある。

 また、「モビリティカンパニーへの変革」(豊田氏)を進める場にすることが肝だ。中でも電動化で電気自動車の普及が低迷する中で「自動車業界の新たな競争の軸になりつつあるのが、SDV(ソフトウェア定義車両)化と自動運転」(アナリスト)だ。特に自動運転では業種を超えたライバル企業の動向も激しい。

 先頭を走る米テスラが日本での公道試験に乗り出し、日産自動車も日本で運転手不在の完全自動運転に当たる「レベル4」に向けて実証実験を開始。その日産が提携する英AI新興企業にはソフトバンクグループも出資する。また、米アルファベット傘下のウェイモも東京で自動運転技術の試験を進める。

 ウーブン・シティでは敷地内に専用道路をつくり、様々な乗り物の自動運転の実証を予定する。例えば、地下にも道路を整備し、自動配送ロボットが荷物を運び、エレベーターで各戸に届ける実験も行う。横並びが続く中で、公道と違って規制が少ない私有地というメリットを最大限生かしていく考えだ。

 まちづくりに乗り出したトヨタ。これまでのケイレツを活かした自動車づくりとは一線を画した取り組みが今後の同社の行方を占うことになる。

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