三菱重工は、同社が開発中のバイオエタノール製造を低コスト・高効率化する膜分離脱水システム「MMDS」について、「長崎カーボンニュートラルパーク」(同社総合研究所長崎地区)内に設置したパイロットプラントで、国内燃料規格99.5vol%以上のエタノール純度を達成したと発表。実証プラントを建設し、早期の市場投入に向けて開発を加速する。

  • 膜分離脱水システムのパイロットプラント

    膜分離脱水システムのパイロットプラント

バイオエタノールは、ガソリン代替としてのクリーン燃料や、次世代航空機燃料「SAF」(Sustainable Aviation Fuel)の原料として注目を集めている。バイオエタノールを燃料にする製造工程の最終段階においては、バイオエタノール中に含まれる水分の除去(脱水)が欠かせない。しかし、その脱水工程では多くのエネルギーを消費するという課題があった。

三菱重工が開発を進める、バイオエタノール製造のための膜分離脱水システム(MMDS:Mitsubishi Membrane Dehydration System)では、脱水工程を従来のPSA方式から、分子の大きさの違いを利用し、膜を用いて物質を分離する「分子ふるい膜分離方式」に置き換えることで高効率化。30%超の消費エネルギー削減により、オペレーションコストの大幅な低減と安定生産をめざす。液相での分離が可能なため、装置をコンパクトにできるのも特徴だという。

同社では、植物由来のクリーン燃料であるバイオエタノールの高効率な製造プロセスの開発と、その事業化を推進することで、脱炭素技術の早期確立・社会実装を図り、持続可能なカーボンニュートラル社会を追求していく。

  • バイオエタノール膜分離脱水システム(MMDS:Mitsubishi Membrane Dehydration System)のロゴ

    バイオエタノール膜分離脱水システム(MMDS:Mitsubishi Membrane Dehydration System)のロゴ