Googleは9月23日(現地時間)、ソフトウェア開発に関するトレンドを調査した年次レポート「2025 DORAレポート」の結果を公開した。今回のレポート「AI支援型ソフトウェア開発の現状」では、世界中の約5000人の技術専門職を対象に調査を実施し、ソフトウェアの構築方法が根本的に変化していることが裏付けられたという。
開発者のAI導入率は90%、生産性とコード品質に影響
Google Cloudの研究プログラム「DORA(DevOps Research and Assessment)」は10年以上、技術主導型の高パフォーマンスチームや組織の能力、実践、評価指標を調査してきた。2025年版の調査では、AIが開発者のツールキットにおいて、普遍的な要素となっていることが明らかになった。
特に注目すべきは、ソフトウェア開発者におけるAIの導入率が90%に達したことだ。これは昨年から14%の増加となり、開発者からプロダクトマネージャーまで、技術職の多くがAIを日常的な業務に組み込み、中央値で1日あたり約2時間をAIとの作業に費やしているとのこと。
調査対象者のうち65%がソフトウェア開発においてAIに大きく依存していると回答しており、具体的には「中程度の依存」が37%、「かなり依存」が20%、「非常に依存」が8%となっている。この結果は、業界におけるAIの強力な導入と依存を示しており、今年の調査では回答者の80%以上がAIで生産性が向上したと回答し、59%がAIがコード品質に良い影響を与えているという。
“信頼のパラドックス” - AIを使うが完全には信頼しない
AIの普及と恩恵が広く認識されている一方、AIの使用に慎重な姿勢を示す開発者も存在する。今回のレポートでは、意外な“信頼のパラドックス”が浮き彫りになった。AIに対して「非常に信頼している」が4%、「かなり信頼している」が20%である一方、「少ししか信頼していない」が23%、「まったく信頼していない」が7%となっている。
これは、AIの出力が有用で価値あるものと認識されているにもかかわらず、完全な信頼には至っていないことを示している。AIは人間の判断を完全に代替するものではなく、生産性や効率を高める補助的なツールとして業務に組み込まれている可能性が高い。
AIは個人のパフォーマンスを向上させているが、組織全体への影響はより複雑だ。調査では、AIの導入がソフトウェアの提供量の増加と関連していることが示された。
つまり、チームが多くのソフトウェアやアプリケーションをリリースしているということであり、昨年の調査結果とは逆の傾向となった。ただし、依然として課題となっているのは、ユーザーに提供する前にソフトウェアが意図通りに動作することを保証する点にあるとのことだ。
DORAが提唱する「AI Capabilities Model」と成功要因
調査では、AIが「鏡」であり「増幅器」として機能することも明らかになり、組織がまとまっている場合、AIは効率を高める一方で、組織が分断されている場合、AIはその弱点を浮き彫りにする。
こうした背景を理解するために、今年のレポートでは単純なパフォーマンス指標を超えて、7つの異なるチームの類型を提示している。これにより、AI導入の成功を左右する要因を、より人間中心の視点から捉えることが可能になる。
AIの導入に前向きな組織にとっては、新しいツールが業務プロセスの進化を促し、生産性の向上とそれに伴う変革の両方を享受できる可能性がある。
しかし、AIを導入するだけでは成功は保証されない。そこで今回は、AIの影響力を最大化するための7つの重要な能力をまとめた「DORA AI Capabilities Model」を発表。このモデルは広範な調査にもとづいており、技術的要素と文化的要素の両方が成功に不可欠であることを示している。
AIは開発者にとって変革的なツールであるが、その真価を引き出すには、単なる導入だけでは不十分であり、組織は文化、プロセス、システムを進化させ、新たなソフトウェア開発の時代に対応する必要がある。


