OKIは、6月19日にサービス提供を開始した製品群・共通工程・工場の単位での設計生産受託(EMS)サービス「まるごとEMS」において、顧客が生産進行状況などの情報をリアルタイムでいつでも確認できるようにする「リアルタイム生産情報見える化サービス」の提供を開始したと明らかにした。

  • 新サービスのメニュー画面

    リアルタイム生産情報見える化サービスのメニュー画面(出所:OKI)

“バーチャルファクトリー”へのニーズが急拡大

労働力不足や人件費の高騰、為替状況などに起因するコストの変動をはじめ、激しい開発競争を勝ち抜くための生産サイクルタイム短縮など、ものづくり企業を取り巻く環境は厳しさを増している。だが一方で、人材の育成や成長分野・最新技術への投資も急務となっており、各企業にはより効率的な事業運営が求められている。

そんな課題を解決する方策として関心が高まっているのが、“持たない経営”だ。これは、自社で保有すると大きな固定コストを伴うことになる生産能力をアウトソースし、工場・設備の変動費化や棚卸業務の削減を行うことで、より重要な業務にリソースを集中させるもの。長年にわたりEMSサービスを提供してきたOKIは、こうした最新のニーズに応えるため、コア製品以外など「製品群」単位での設計・生産、投資無しで最新技術を用いた作業を可能にする「共通工程」ごとの受託、そして生産機能すべてを請け負い“バーチャルファクトリー”として「工場」まるごとを担う、という3タイプでの価値提供を行うまるごとEMSサービスの提供を開始した

  • まるごとEMSサービスの概要図

    まるごとEMSサービスの概要図(提供:OKI)

そんな新サービスの提供を進める中で、OKIでは顧客企業側からの新たなニーズの高まりを感じたとのこと。それは、生産を外部に委託していながらも、自社工場のように生産状況を把握・管理できる「バーチャルファクトリー」的形態を求める流れであり、その中でも特に重要視されていたのが“リアルタイムでの生産情報見える化”だという。

  • 新サービス提供に至った背景

    新サービス提供に至った背景(提供:OKI)

自社工場のような生産状況の把握を実現

まるごとEMSは、製品の生産をまとめて請け負うというサービスの性質上、納期に対する要求が厳しい。またこれはOKIが“高品質な多品種少量生産”を強みとするためでもあるが、生産する製品の機種や部品数が多く、生産計画や部材の管理が煩雑であることも特徴。そのため納期調整や部品の支給などを行う必要がある顧客側で、生産状況の把握を行う必要がある際には、OKIの担当者に連絡して確認を依頼し、OKI内での関係部署からそれぞれ回答を得た後に、メールや打ち合わせなどで共有するほかなかった。しかしそれでは回答までの時間を要することになるうえ、OKIや担当者が休日などの場合では対応が先送りになるなどの課題が残されていた。

そこで同社は、製品の生産進捗や部品在庫のリアルタイム状況などを顧客側からWeb上で直接確認できる“データベース”の構築に着手。社内での生産管理を効率化するために全社規模で構築された基幹システムを活用し、顧客向けに公開可能な情報を抽出して見える化することを目指したとする。

そうして今般の提供開始に至った新サービスでは、すでに生産進捗状況と在庫部品に関する情報の可視化は実装済みで、クラウドを介して顧客側からもスマートフォンやPCから24時間・365日体制で確認できる状態となっている。同サービス上ではそれぞれ注文番号や製品名など細かく検索することができ、生産進捗の確認画面では、部品の着荷や組み立て、出荷などの各工程ごとに進捗状況を確認可能。計画から遅れている場合には表示色を変えるなど、早い段階で問題を把握することで、計画の再検討や納期調整など改善に向けた意思決定を迅速に行えるとしている。

  • 新サービスのメニュー画面と各アイコンの説明

    新サービスのメニュー画面と各アイコンの説明(提供:OKI)

  • 生産進捗の確認画面

    生産進捗や在庫の状況は個別に確認可能で、生産段階ごとの状況把握も容易に可能(提供:OKI)

またOKIの担当者によれば、同サービス上で表示されたデータはCSVの形でダウンロードすることも可能で、顧客側でのデータ共有にも活用可能とのこと。さらに今後は、トレーサビリティについての情報や生産計画を見える化する新機能も追加予定とのことで、現在開発を進めている最中だとする。

なお、今回発表された新サービスはまるごとEMSを提供する中でのオプション提供となるといい、年間3ユーザーへの販売を目標に掲げている。OKIは同サービスを通じ、自社工場のような透明性と即時性を提供するバーチャルファクトリーとして、製造企業におけるさらなる経営課題の解決に貢献するとしている。