京セラは9月17日、クロック用水晶発振器において、業界最小クラスのサイズでありながら、従来品比約50%の低電圧化となる0.9V駆動を実現した新製品「KC1210Aシリーズ」を開発したことを発表した。
消費電力を半減させるキーデバイスとして普及に期待
AI機能を搭載したスマートフォンやウェアラブルデバイスの普及に伴い、高速通信や大容量データ処理といった技術の高機能化が進んでいる。しかしこうした機器の高機能化は、搭載部品点数を消費電力を増加させ、結果としてバッテリーの消耗や充電頻度の増加といった課題への影響が顕在化しているという。
そうした問題への解決策として需要が高まっているのが、小型かつ低電圧駆動を可能とする発振器とのこと。そのため小型振動子での豊富な実績や独自の技術力を有する京セラは、現代の市場ニーズに応える製品として、KC1210Aシリーズの開発を行ったとする。
同社独自の小型素子設計技術によって諸特性と小型化を両立したという新製品は、面積では従来品比で約60%減となる1.31mm2max.(1.25mm×1.05mm×0.5mm MAX.)を実現。体積は約4分の1となり、機器の高機能化による高密度実装にも貢献できるとしている。
また新型の低電圧駆動発振ICの採用によって、電源電圧を従来品比約50%まで低減させた0.9V駆動も実現したといい、その結果、消費電力も従来品に比べ約50%削減できる見込みであるなど、今後さらなる消費電力増加が予測されるスマートフォン・ウェアラブルデバイス市場において、省電力化に大きく寄与できるとした。
なお京セラによると、KC1210Aシリーズについては9月17日よりサンプル対応を開始し、量産開始は2026年夏を予定しているとのこと。山形東根工場での生産予定で、スマートフォンをはじめVRゴーグルやIoTモジュールなどさまざまな用途向けに展開していく予定だとしている。
