三菱電機は9月9日、工場やインフラをサイバー攻撃から守るOT(制御・運用技術)セキュリティ分野の技術を持つ、米Nozomi Networksの完全子会社化を発表。市場拡大が見込まれるOTセキュリティ分野においてグローバルでのトップシェア獲得に加え、自社デジタル基盤「Serendie」事業の拡大もねらう。買収額は8億8,300万米ドル(約1,295億円)。2025年中に買収を完了させる予定だ。

三菱電機のOT(Operational Technology)領域の知見と、Nozomiのセキュリティ技術を組み合わせることで、付加価値の高いセキュリティソリューションを提供し、“グローバルNo.1のOTセキュリティソリューションプロバイダ”をめざす。三菱電機とNozomiは同日、合併契約を締結。同社専務執行役CDOの武田聡氏によれば、今回は三菱電機として過去最大の買収額になるという。

三菱電機が、社内外のデータや技術などを活用し、新たな価値を共創するためのデジタル基盤として展開している「Serendie」(セレンディ)関連事業を強化していくことも、今回の買収目的のひとつ。

Nozomiが持つSaaS商材やAI技術といった資産をフル活用することで、事業拡大を加速。OTセキュリティ技術を三菱電機のコンポーネントへ実装するほか、Nonomiのソリューションを介して得られる収集データを活用し、新たなサービスを顧客と創出していく。

具体的には、生産現場で稼働する多種多様な機器の稼働データをセキュアに収集・分析し、AIエージェントを活用した生産ラインの最適制御など、ものづくり現場におけるデジタルトランスフォーメーションを追求するとしている。

2016年設立のNozomi Networksは、米サンフランシスコに本社を置き、スイスに開発拠点を持つ企業で、ワイヤレス通信のデータ収集や、高度な侵入検知、多様なOT/IoTデバイスの可視化といった技術を保有。製造業やインフラ、ビル領域におけるグローバルで多様な顧客基盤を持ち、サイバー攻撃の増加や規制強化が進むOTセキュリティ市場で重要な役割を果たしているという。

売上7,500万米ドル、2022〜2024年の年間平均成長率(CAGR)が33%、粗利率70%以上など、サブスクリプションを背景とした高い収益基盤も特徴だ。従業員数は315名。

三菱電機は2024年に、OTセキュリティ事業の強化を目的としてNozomiと協業契約を締結しており、今回の買収でセキュリティ事業の抜本的な強化をめざす。

三菱電機のロードマップでは、同社のSerendie関連事業の売上高について、2025年度は6,800億円、2030年度1.1兆円越えを見込んでおり、2035年度にはさらに飛躍的な成長につなげたいとする。

三菱電機が9日に開催した説明会のなかで武田氏は、「Nozomiも含めた三菱電機のセキュリティ事業の連結売上規模を、今後10年で10倍以上に引き上げたい」という考えを、報道陣の質問に応えるかたちで明らかにした。