中国のAlibabaが、最新のAI向けチップを開発している。従来よりも汎用性の高いもので、米国の対中輸出によりNVIDIAが中国市場で提供できないために市場にできている空白を埋めるものだという。

積極化する中国の自給自足型AIサプライチェーン構築

Alibabaはこれまで特定用途向けに設計されたAIチップを持つにすぎなかったが、最新のチップはより幅広いAI推論タスクに対応できる設計だという。NVIDIAのプラットフォームとの互換性もあり、開発者がNVIDIA向けに書いたプログラムをAlibabaの最新チップで動かすことができるという。

このチップは現在テスト段階にあり、製造は台湾のTSMCではなく中国企業が請け負う予定とのことAlibabaはAIサービス需要急増により、4~6月期のクラウド収益は26%増加。同社は今後3年間でこの分野に最低530億ドルを投資することを明らかにしている。

8月29日報じたWall Street Journalによると「AlibabaはNVIDIAの最大顧客の一つだった」が、NVIDIAが中国市場で「H20」など高性能なAIチップの提供ができないため、Alibabaをはじめ中国の技術企業はその空白を埋めようとしているという。

一方で、依然として米国の最先端製のチップ製造と比較すると、中国はまだ遅れをとっている、という業界関係者の見解も紹介している。中国最大の弱点はAIモデルの訓練にある、とも指摘している。

中国政府は1月に84億ドルのAI投資ファンドを発表するなど、自給自足型AIサプライチェーンの構築に対し積極的に投資している。その代表が「Ascend」ラインでチップを開発するHuawei(ファーウェイ)だ。

それ以外でも、7月には上海のMetaXがH20の代替品となる新チップを発表。このチップはH20より大容量のメモリを搭載し、一部のAIタスクで高い性能を発揮するが、電力消費は多い。MetaXは量産準備を進めていると発表している。また、北京のAIチップ設計会社のCambricon TechnologiesはAIチップ「Siyuan 590」を展開しており、受注も好調だという。

AIに特化したファンドであるInterconnected Capitalの創業者、Kevin Xu氏はブログで、中国企業のソフトウェア革新と国産チップの改良の組み合わせについて「中国のAI開発者が米国との差を多くの人が思うより早く縮め、中国内外でNVIDIAと米国のAIスタックに挑戦できるかもしれない」と分析している。