両備システムズは8月20日、オンラインでメディア向けに事業の進捗と今後の展望に関する説明会を開催した。両備システムズ 代表取締役COOの小野田吉孝氏が説明を行った。
次期長期ビジョンで売上高1000億円を目指す両備システムズ
同社は6月5日に創立から60周年を迎えた。創立当初は岡山県を中心に計算センターを稼動していたが、現在では両備ホールディングス傘下においてシンク、ドリームゲート、マックスシステム、ラオスのRyobi LaoなどとともにICT部門を担い、投資運用会社としてRyobi AlgoTech Capitalを持つ。
公共に加え、医療、社会保障分野、民間企業向け情報サービスの提供、システム構築、データセンター事業、クラウドサービス事業、セキュリティ事業と多岐にわたり事業を展開している。2024年~2026年を計画年度とした中期経営計画では、最終年度である2026年に売上高446億円を計画。
一方で、長期ビジョンにおいて2030年までに同500億円の売上高を目指しており、2021年~2023年を統合・変革期、2024年~2026年を浸透・推進期、2027年~2030年は達成目前期と位置付けている。そして、2040年までの次期長期ビジョンでは売上高1000億円と意欲的な数値目標を据えている。
小野田氏は「昨年からスタートした自治体システム標準化に伴う売り上げのピーク時期が当初の2026年から2025年に前倒しになった。2025年度の売上高は456億円を想定しており、500億円が見えてきた。ピークが過ぎれば売り上げが減少すると思われがちではあるものの、回避できる見込みだ。ただ、公共系は成長が鈍化しているため、民需系をもってしてグローバル展開していく。現在の売上比率は公共系8:民需系2となっているが、7:3もしくは6:4とし、これにクラウド系を加えて事業を成長させる」と述べた。
自治体システム標準化に対応、「健康かるて」などの導入拡大
今年、同社では中期経営計画において(1)「自治体システム標準化への取り組み」、(2)「民需・メディカル事業の拡大」、(3)「クラウド事業の拡大」、(4)「カーボンニュートラルの取り組み」、(5)「投資」の5つの施策に取り組んでいる。
(1)では、小野田氏が前述したようにピーク時期が2025年に前倒しになったものの、2026年以降も保守費が売り上げに寄与する見通しとなっており、2025年度の売上高は95億円を計画。本格化するガバメントクラウド事業の確実な推進を図る。
その中でも好調な製品として、健康管理システム「健康かるて」と債権一元管理型対応整理システム「THINK CreMas Cloud」を挙げている。2026年に健康かるては現在の780団体から900団体、THINK CreMas Cloudは401団体から700団体にそれぞれ拡大を予定している。
また、自治体向けグループウェアシステム「公開羅針盤」は生成AIの活用やMicrosoft 365との連携を強化するほか、子供に関するデータ連携プラットフォーム「こどもの杜」では家庭児童相談、児童相談所の導入に向けて展開していく。今年にローンチした健診の予約から問診、実施、結果配信、集計報告までを担う健康機関向けソリューション「WELLSHIPシリーズ」の拡販に加え、固定資産税課税支援システム「マルコポーロ」を中核市以上の自治体に対して積極的に展開する方針だ。
民需・メディカル事業を拡大
(2)についてはアパレル、物流ソリューションへの取り組み、メディカルAIの事業展開を推進する。
物流ソリューションは、ロジスティードソリューションズとともに事業を展開。物流拠点ビジネス領域において、2026年度にバース管理・監視システムを現在の21施設から45施設、バース入退場システムを4施設から8施設、バース管理システムを16施設から30施設、7月に発表したトラックの背面測定を行う「IT-Parking for Truck」を1施設から5施設、AIで資材などをカウントするツール「CountShot」を1施設から25施設にそれぞれ拡充する。
ファッション・アパレル業向け統合システム「Sunny Side」では「Sunny Side for Sales(卸販売)/ Maker(生産管理)」を現状の4件から10件、「同Retail(小売販売)」を16ユーザーから20ユーザー、倉庫管理システム「同WMS Option」1ユーザーから3ユーザーへの拡大を目標に定めている。
メディカルAIに関しては、昨年3月に開発した早期胃がん深度AI診断支援システムを2025年度内に市場投入を予定しているほか、昨年7月に発表した胆道がんAI診断支援システムについて、今年7月に岡山大学と共同研究を行う「人工知能による胆道内視鏡画像診断システム」がAMEDの研究開発課題に決定している。
ISMAP取得でクラウド事業を加速、環境方針も策定
(3)ではAWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、Google Cloud、Salesforce、Kintoneなどのクラウド技術者を育成している。
同社は自社データセンターで、これらのクラウドサービスやガバメントクラウド、BPOをVPNで接続し、PaaS(Platform as a Service)基盤の「R-Cloud」を省庁、自治体、企業などに提供している。
今年6月には、中四国の企業では初となるISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)を取得。これにより、セキュリティが担保できるようになったことから、より付加価値の高いサービスを提供していくという。
(4)は政府が目標に掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けて、8月20日に環境方針「GREEN COMPASS 2050 ~忠恕の心で地球にやさしい未来へ~」を策定。環境保護と経済成長の両立を目指しながら、サステナブル社会の実現に取り組む。
具体的には温室効果ガス(GHG)の排出量を重要指標とし、2030年までにScope1・2の排出量を51.2%削減することを中期目標に設定、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す。
これに先立ち、同社では3月6日にバングラデシュにおいて効率的な農業を行い、生産性の向上に貢献するためAWD農法(間断灌水により節水、収量増加が見込める稲作農法)の浸透を図る目的で実証事業を開始すると発表している。
(5)については、Ryobi AlgoTech Capitalが2023年に組成した1号ファンド「両備システムズイノベーションファンド」に加え、9月に2号ファンドの設立を予定。
1号ファンドはファンド規模が20億円、運用期間は10年間ですでに海外57%、国内43%の割合で13億2000万円を投資しており、2025年末にまでに累計17億円の投資実行を予定している。一方、2号ファンドは海外70%、国内30%の割合とし、グローバル投資を強化する考えだ。
最後に小野田氏は「中計の2年目を迎え、3年目もめどが立っている。早めに次の手を打ちつつ、当社が生き残り、お客さまの価値向上に加え、社会貢献できるソリューションを展開していきたいと考えている」と力を込めていた。
なお、同社では9月2~3日にDX(デジタルトランスフォーメーション)の支援を目的としたイベント「両備共創DX2025」をTODA HALL&CONFERENCE TOKYO(東京都千代田区)で開催を予定している。







