グーグル・クラウド・ジャパンは8月5日~6日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「Google Cloud Next Tokyo」を開催。本稿では初日に行われたGoogle Cloud 日本代表の平手智行氏の講演を紹介する。
Google CloudのAIエージェントが提供する3つの価値
登壇するなり、平手氏は「日本の生成AI市場は急速に拡大し、応用領域と重要性は増すばかりだが、実際の業務では“人間による指示と判断”が不可欠。AIエージェントは人間のように自律的に思考と判断を繰り返し、最終的な結果の出力から実行までをワンストップで行い、生成AIを業務に深く組み込む鍵になっている」と強調した。
同氏によると、AIエージェントはビジネスに対して「分断された情報をつなぐ」「エンドツーエンド業務代行」「スキル・人材不足の解消」という3つの価値を提供するとのことだ。
昨年、同社ではGoogle CloudとGoogle Workspace全体で3000超の製品アップデートを行い、グローバルにおけるリージョン数は42(日本は東京、大阪)、そしてリージョン間は全長320万キロ超の巨大ネットワークで接続。
また、4月に提供開始した「Cloud Wide Area Network」を利用すれば、ネットワークを自社拠点間の移動に利用できるほか、他社のクラウド接続にも利用が可能。これにより、最大40%のコスト削減とパフォーマンス向上の両立を実現できるという。
直近1年間では900万人の開発者がGeminiで開発を行い、AI統合プラットフォームの「Vertex AI」におけるGeminiの利用は40倍に拡大したほか、Google WorkspaceにおけるAIアシストは毎月20億回以上、利用されている。
平手氏は「企業の信頼とコンプライアンスを確保するうえで、透明性の高い段階的な推論は非常に重要。最新モデル『Gemini 2.5』は回答するまでに推論を行うモデルであり、6月に『Gemini 2.5 Pro』『同Flash』、7月に『同Flash-Lite』を発表した。Vertex AIのユーザーは、これらすべてのモデルを利用することが可能だ。そして今回、Flashが東京リージョンでリリースされたことで、お客さまの生成AIの処理すべてを国内で完結することが可能になった」と話す。
AI関連に総額850億ドルの積極的な設備投資
こうした同社のAI市場における勢いは、積極的な設備投資にも表れている。2025年単年で総額850億ドル(日本円で12兆7000億円)をAI開発関連投資に投じることを発表し、2024年と比較して73%の増額だという。同氏は「AIアプリケーションの開発から運用プラットフォーム、AIエージェントとフルスタックでサービスとして提供している」と胸を張る。
現在、AIモデルはGeminiに加え、AI画像生成ツール「Imagen」、AI動画生成ツール「Veo」、音声認識サービス「Chirp」、音楽生成ツール「Lyria」なども最新バージョンが出そろっている状態だ。そして、AIエージェントの開発・運用に加え、AI統合プラットフォームとしてVertex AIが提供されている。これにより、開発者は多種多様なモデルやツールを使い、AIソリューションを容易に開発・運用することができるという。
さらに、今年4月に米国で開催した「Google Cloud Next '25」で発表されたAIエージェントを容易にし、複数のエージェントシステムを簡単に構築するためのオープンソースのフレームワーク「Agent Development Kit」、エージェント間の協調的なコミュニケーションを促進するオープンプロトコルの「Agent2Agent Protocol」などは、企業におけるAIエージェントの取り組みを支援。
また、AIエージェントの先駆けとしては「Agentspace」を提供。同サービスはデータがホストされている場所を問わず、Geminiの高度な推論やGoogle品質の検索など、企業におけるデータを統合するエージェントであり、社内外の情報を分析・レポートする「Deep Research」とアイデア出しを支援する「NotebookLM」といったGeminiの機能が含まれている。
「Google Distributed Cloud」が国内で採用
一方、企業・組織ではセキュリティやプライバシー、データ主権をはじめとした、さまざまな規制に対応しつつ、AIを本格的に活用したいと強く考えているという。
平手氏は「Google Cloudはお客さまのデータや知的財産を保護し、コンプライアンスを遵守することで安心してAIの導入・活用することが可能。しかし、データ主権や厳格な規制、レイテンシ、データ量の増大などの課題に直面し、データをオンプレミスに保持しなければならないと考えている」と、現状におけるAIの活用を阻むオンプレミスの壁について言及した。
そこで、同社では「Google Distributed Cloud」で対応する。これは同社の技術を顧客のデータセンターやエッジ環境に拡張するハードウェアとソフトウェアのソリューションだ。すでに、KDDIがシャープの堺工場跡地(堺市堺区)で建設を進めている大規模AIデータセンター「堺データセンター」で同サービスを活用し、2025年度中にGeminiを同データセンターなどの国内インフラに展開する。
同氏は「これにより、機密性の高いデータ保持と最先端のAIモデルを利用した生成AIのワークロードを自社で運用しているデータセンターで完結できる」と力を込めていた。





