MEMS市場は2030年に192億ドル規模に
半導体市場動向調査などを手掛ける仏Yole Groupによると、2024年のMEMS市場は前年比5%増の154億ドルとなり、出荷個数は310億個に達したという。また、MEMS市場は2024年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)3.6%で成長し、2030年には192億ドルに達すると予測されるという。
民生市場はTWSイヤホンなどのウェアラブル機器の伸びに加え、長期的にはAR/VRヘッドセット市場の拡大や、屋内外の空気質の把握に向けたセンサ活用の伸びが期待されるという。
自動車市場は、電気自動車の停滞があるものの全体的には位置測位用モーションセンサ、AEB(自動ブレーキ)用マイクロボロメータ、高精度タイミングソリューション、熱管理用MEMS圧力センサなどで伸びが期待されるほか、バッテリーパックの衝撃検知などの新規分野の拡大も期待されている。
産業分野は、倉庫の自動化ニーズを受けたAGVなどの伸長によるモーションセンサ、マイク、超音波センサなどの成長に加え、設備の予兆検知のためのセンサやマイクの伸びも期待されるとする。
医療分野は、OTC補聴器がMEMSマイク、マイクロスピーカ、モーションセンサなどをけん引するほか、超音波診断や遠隔医療におけるCMUT(容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ)およびPMUT(圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ)を用いたハンドヘルド型POC(Point of Care)超音波プローブも成長が予測されるとする。
そのほか、通信量の増加に併せて光MEMSやMEMS発振器なども今後、成長する見込みであるともしている。
MEMSサプライヤ売り上げトップ30に日本勢は4社
2024年のMEMSサプライヤ売上高トップ30を見ると、北米14社、欧州8社、日本4社、中国4社という内訳となる。
トップはRobert Boschで、2024年の売上高は前年比12%増の20億ドルでスマートセンサがけん引したという。2位はBroadcomで3位はQorvoだが、薄膜バルク音響共振子(FBAR)の採用減に伴う減速傾向のBroadcomに対し、BAW-SAWフィルターを大手スマホメーカー各社に供給するQorvoと対照的だという。
4位はTDKで、スマホやウェアラブル端末など民生用電子機器向けモーションセンサが売り上げを支えているとする。売上高トップ30に入る日本企業はTDKのほか、11位にキヤノン、17位に村田製作所、20位にセイコーエプソンとなっている。かつてはパナソニック、旭化成、アルプス、デンソー、オムロン、太陽誘電などもランクインしていたが近年はこの4社に絞られてしまっている。
一方で成長著しいのが中国勢で、中国政府による資金援助と自給自足政策により事業を拡大しているが、この急成長が供給過剰、価格競争、持続可能性への疑問などを引き起こすこととなっている。
MEMSバリューチェーンの主なトレンドは?
なお、MEMS分野においても大口径化がトレンドで300mmでの製造もすでに複数社で進められている。ICとの統合が容易であること、ならびに特定用途に合わせてダイサイズを大きくできることなどが背景にあるとされる。