G-Pulse社長・片瀬裕文の「次世代技術の開発で、日本を世界の地熱革命のリーダーに!」

「電力は国家なり」

 ─ 日本が地熱発電に取り組む意義をどう考えていますか。

 片瀬 これからどんどんAI(人工知能)やデータセンターが増えていく中で、わたしはAIを自前で持たない国は三流国に成り下がってしまうのではないか、という危機感を持っています。そのためには膨大な電力を確保しなければなりません。

 その意味で、わたしは、かつては「鉄は国家なり」と言われましたが、これからは「電力は国家なり」と言われる時代だと思っています。日本が一流国であり続けるためにも、地熱は必ず必要な電源だと思っています。

 ─ 原子力やLNG(液化天然ガス)でもなく。

 片瀬 ええ。米国では当面シェールガス由来の電力で、データセンターを動かそうとしています。これはトランプ政権では問題視されないかもしれませんが、GAFA(グーグルやアップルなどの米テック大手)などの企業は気にするわけですよね。世界がカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現に向かっていく中で、化石燃料発電を増やすわけにはいけません。日本には化石燃料がないし、国際協調が必要な国なので、地球温暖化対策に逆行するような動きは取れません。

 他方、原発は時間の問題があります。日本では、原発の新設は、運転開始までに25年以上かかるでしょう。そうなると、仮に今から原発をつくり始めても、稼働するのは2050年です。2050年のカーボンニュートラルという目標に間に合いませんし、そのはるか前にAIの開発競争は大勢が決しているでしょう。

 ─ 本当ですね。地熱なら、そこまで時間はかからない?

 片瀬 はい。次世代地熱は3~4年で建設できます。風力や太陽光は、ベース電源ではなく、日本の主力電源になることは難しいでしょう。そうなると、地熱しかないんです。

 ─ なるほど。地熱なら全国に可能性があるわけですね。

 片瀬 そうです。地熱は日本全国どこでもできますし、温室栽培や魚の養殖などの熱源としても利用できます。データセンターや半導体工場の立地も進み、地方再生にもつながります。

 地熱により、日本がエネルギー自給国家になることも夢ではありません。日本が地熱革命の世界のリーダーになることができるよう、全力を尽くしたいと考えています。

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