Amazon Web Services(AWS)が近くAIエージェントマーケットプレイスを開始する模様だ。パートナーとしてAnthropicが名を連ねているという。
AWSがサイロ化するAIエージェントの提供に一石を投じる
AWSのエージェントマーケットプレイスは、AWSが7月15日に米ニューヨークで開催予定の「AWS Summit」で発表される予定だ。AWSとAnthropicはTechCrunchのコメント要請に応じていない。
大半の企業がAIエージェントをサイロ化して提供しているため、AIエージェントの配布が課題となっており、AWSは新しい動きでこれに対処する一歩を踏み出したようだ。
AIエージェントを作成するベンダーは、自社のAIエージェントをAWSの顧客に直接提供できるようになる。また、マーケットプレイスの仕組みを利用して企業顧客は単一の場所から要件に基づいてAIエージェントを閲覧、インストール、検索できるようになるという。
AIエージェントは業務アプリケーション、IaaS(Infrastructure as a Service)、AIスタートアップなど各社が力を入れているが、AIエージェントの発見やディストリビューションは課題となっている。AWSのマーケットプレイスは、AIエージェントの発見や配布の問題への対応を狙うとのこと。
AnthropicとAWSはすでに出資の関係にあり、AIエージェントマーケットプレイスが実現すれば同社にとって大きな後押しになるという。
すでに、Amazonの支援を受けているAnthropicは、Eコマース企業からさらに数十億ドル規模の投資を受けると報じられているが、同社は自社でAIエージェントを構築し、APIを使って開発者が作成できるようにしている。
AWSのマーケットプレイスは、AnthropicがOpenAIのようなライバルのAIエージェントをすでに使用している顧客を含む多くの顧客にアプローチするのに役立つという。Anthropicのマーケットプレイスへの参加は、多くのエージェントを作成するためにAPIを使用する開発者を引き付け、最終的に収益を増加させる可能性もある。同社はすでに5月下旬に年商30億ドルを達成している。
他のオンラインマーケットプレイスと同様、AWSは新興企業がエージェントをインストールすることで得た収益の一部を受け取ることになる。しかし、マーケットプレイスが新たな収益源を開拓し、顧客を惹きつける可能性に比べればわずかなものだという。
マーケットプレイスモデルでは、新興企業はエージェントを顧客に請求することができる。この仕組みは、マーケットプレイスがSaaS(Software as a Service)製品をより広範なサービスにバンドルするのではなく、SaaS製品に値付けする方法に似ているとのことだ。
一方、Google Cloudは4月に開発者や企業がAIエージェントを出品・売買できるAIエージェントマーケットプレイスを導入した。マイクロソフトも1カ月後、Microsoft 365 Copilot内にAgent Storeと呼ばれる同様のサービスを導入。さらに、SalesforceやServiceNowなどのエンタープライズソフトウェアプロバイダーも、独自のエージェントマーケットプレイスを持っている。
また、AnthropicはAIと外部のデータのやり取りのためのプロトコル「MCP」(Model Context Protocol)を開発しており、AIエージェントで用いられるプロトコルとなっている。7月10日付けでTechCrunchが近い筋からの情報として報じている。