パナソニック エレクトリックワークス(パナソニックEW)は7月2日、同社が提供する「おうちEV充電サービス」に関する説明会・体験会を実施。電気自動車(EV)の導入検討層から実際にEVライフを送るユーザーまで幅広いターゲットを掲げる同サービスについて、充電コスト削減に貢献する電気料金シミュレーション機能や、10月31日発売予定の新モジュールなど、その強みを紹介した。
EV普及と共に充電に要する電気料金への関心が急上昇
EVの普及が広がる昨今、自家用車として購入されるEVの台数は長期的に増加していくと見られる。そんな中、自家用EVを所有するオーナーを対象として2024年に行われた調査では、EVオーナーのうち大半が戸建て住宅に居住していることが判明。その充電もほとんどが自宅で行われており、壁付けコンセントやスタンド、V2H(Vehicle to Home)システムなどの充電インフラを自宅に備えるケースが増えているという。
このような背景でEVユーザーからの関心が高まっているのが、“電気代”だ。近年では電気料金の値上げが続いていて、政府による補助金の縮小などもあり、EV充電コストに対する危機感が募っている。そのため、ガソリン車ユーザーが高騰するガソリンをなるべく安く調達できるガソリンスタンドを探すように、EVユーザーもなるべく安く電気を調達するための試行錯誤を重ねており、EV充電に要する電気代の把握に始まり、電力会社や電気料金プランの変更などによってEV充電コストを削減する動きが活発化しているとのこと。またEVの購入を検討している人にとっても、その経済性を事前にシミュレーションしたいというニーズが大きいとする。
EV充電に関わるさまざまな製品・ソリューションを提供してきたパナソニックEWは、前述の背景を受け、EV導入済みのユーザーから購入検討中の見込みユーザーまで幅広い層をターゲットとして、それぞれの“EVライフ”における快適さ・利便性を向上させるソリューションを複数提供。その中で戸建て住宅向けとして2025年2月に発表された「おうちEV充電サービス」は、6月時点で約7000ダウンロードを達成している。説明会に登壇したパナソニックEW 電材&くらしエネルギー事業部 新規ソリューションセンター インキュベーション推進室 おうちEV充電チームの山本悠斗氏は、その進捗について「順調だと捉えている」と説明する。
効率的なEVライフに貢献する無料スマホアプリ
パナソニックEWが提供するおうちEV充電サービスは、ハードウェアの導入有無に関わらず利用できるソリューションで、提供されるスマートフォンアプリは無料で利用可能だ。
同サービス最大の特徴は、EV充電にかかる電気代の節約に貢献する“電気料金シミュレーション機能”。現状の電気料金やEV充電量、またEV使用スタイルなどを入力するだけで、さまざまな電力事業者のプランに変更した際の電気料金が算出され、おすすめの電気料金プランを提案するという。なお、おうちEV充電サービスでは複数の電力事業者がアライアンスメンバーとなっており、2025年7月時点で12のプランが用意されているとのこと。中にはこのアプリからのみ契約可能な限定プラン・割引もあり、ライフスタイルに合わせた最適な形での電気代削減につながるとする。
また電気代削減に貢献するソリューションとしては、パナソニック製のEVコンセントと併せて、Natureが10月31日に発売を予定するおうちEV充電サービス専用のIoT制御モジュールも提供可能だ。大規模な工事を必要とせず既存EV充電設備への後付けも可能な同モジュールを組み合わせたIoT EVコンセントを用いると、日々の充電実績をレポート化することが可能に。また電力プランに応じて、電気料金が安い時間帯にEVへの充電を行う“オフピーク充電”をも自動で行われるなど、より大きな電気代削減効果につながるとした。
その他にも、EVでの移動の際に不可欠となる“充電スポット”が整理されたマップ機能を搭載。道中での充電が必要となる長距離移動を行う場合には、充電スポットを考慮に入れたルート検索も可能で、GoogleMapへの反映も行うという。またアプリへのログインや日常的な利用によりポイントも獲得でき、オンラインショッピングやQR決済などでも活用できるとのことだ。
IoT EVコンセントは都の補助金対象に - 低コスト導入を後押し
今回開催されたおうちEV充電サービスに関する説明会では、実際の住環境を模した空間でのデモンストレーションも行われた。このデモ環境では、パナソニック製EVコンセントとNatureのIoT制御モジュールを並べて壁に配置。IoT制御モジュールを既存充電設備に後付けする際には、コンセントと接続していた住宅からの配線をモジュールにつなぎ、それをコンセントに接続することで設置が完了するとのことで、大規模な追加工事は不要だとする。またモジュール自体にはLTE通信機能が内蔵されているため、住宅のWi-Fiとの連携作業も不要とのこと。「簡単な施工で利用できる、という点にもこだわった」と山本氏は語っており、EVの効率的な利用におけるハードルを下げるための工夫が込められていた。
なお山本氏によれば、10月の発売を控えるIoT制御モジュールを含むIoT EVコンセントについて、「通信機能付き充電設備」として東京都による助成金(令和7年度 戸建住宅向け充電設備普及促進事業)の交付対象になるとする。また今後もおうちEV充電サービスにおいてはさまざまなパートナー企業との連携を広げ、今後増加していくEV利用者の“EVライフ”をより便利にするための後押しを拡大していきたいとした。
そして同サービスの今後については、今後もアプリの機能拡充や認知拡大を続けることで利用者を拡大し、2030年には100万ダウンロードを達成することを目標として掲げるとのこと。また同時期にはハードウェアの売り上げを含まない“サービス売り上げ”も約10億円にまで伸長させることを目指し、今後も新たな取り組みを続けていくとしている。