DDR4の価格高騰でDRAM市場全体の契約価格も上昇へ

TrendForceによると、大手DRAMサプライヤ3社は、ハイエンド製品への生産能力のシフトを進めており、PCおよびサーバ向けDDR4ならびにモバイル向けLPDDR4のEOL(End of Life:生産終了)を徐々に進めようとしているという。

そのため、駆け込み需要とピークシーズンの需要が重なった結果、従来型DRAMの2025年第3四半期の平均契約価格は前四半期比で10~15%上昇すると予測されるほか、HBMを含めたDRAM全体の価格も同15~20%ほど上昇すると予測されるという。

DDR4の需要は同四半期でも堅調で、サプライヤはより積極的な価格引き上げを目指しているが、台湾のサプライヤ各社は現状の市場ニーズに応えるだけの生産能力は有していないことから、供給が一時ひっ迫する可能性が高いとTrendForceでは見ており、特にコンシューマ向けについてはサーバ向けが優先される結果、限定的になる可能性があるとしており、その結果、コンシューマ向けDDR4の同四半期の契約価格は前四半期比で40~45%ほど上昇すると予測されるとする。

一方、DDR5については生産能力のシフトが進む結果、価格上昇は比較的緩やかになると予想され、TrendForceでは、旧世代の製品と新世代の製品価格の動向に乖離が生じることとなるとしている。

アプリケーション別それぞれでも価格上昇の予測

アプリケーション別にDRAMの動向を見ると、PC向けは大手PC OEMがODMに対して、PCの組み立て能力の増強とDRAMの在庫積み増しを要求している一方、サプライヤ大手3社がサーバDRAMへと生産能力をシフトさせていることから、PC向けDDR4ならびにDDR5の供給がひっ迫しており、結果として同四半期の契約価格は同8~13%上昇と予想されるという。

一方のサーバ向けについてもDDR5の需要の高まりに加えて、第2四半期のDDR4需要の高まりを受けて在庫補充が進められていることから、短期的な供給のギャップが発生していることから、同四半期のサーバDRAM全体の契約価格は同3~8%上昇すると予想されるという。

モバイルおよびノートPC向けLPDDR4Xについては、2026年からの供給削減が見込まれているが、プロセッサ側のアップデートが追い付いていない部分もあり、市場での購買の勢いが増加傾向にあるという。その結果、LPDDR4Xの契約価格は同四半期に同23~28%上昇と予測されるほか、LPDDR5Xも季節的な在庫積み増しの動きから供給がひっ迫しており、こちらも契約価格は同5~10%上昇と予測されるとする。

また、グラフィックスDRAMについても、NVIDIAの次世代GPUがけん引することが期待されているが、ゲーム市場の需要低迷から全体的な需要の伸びは慎重な状況にあるという。加えて、サプライヤ大手3社ともにGDDR7への生産能力のシフトを進めているものの、エントリークラスならびにミドルクラスのGPUはGDDR6が活用されていることから短期的な供給不足が生じることから、GDDR6の契約価格は同28~33%上昇、GDDR7についても同5~10%上昇と予測されるとしている。

  • 2025年第2四半期および第3四半期のアプリケーション別DRAM価格変化予測

    2025年第2四半期および第3四半期のアプリケーション別DRAM価格変化予測 (出所:TrendForce)