Snowflakeは6月2日~5日に、ユーザーカンファレンス「Snowflake Summit 2025」をサンフランシスコで開催し、さまざま製品アップデートを発表した。基調講演の模様はこちらでお伝えした。
このたび、日本法人がSnowflake Summit 2025に関する説明会を開催したので、注目すべき発表をお伝えする。
AIを用いたデータ活用がスタート
執行役員 ソリューションエンジニアリング統括本部長 井口和弘氏は、データ活用において、データの相互運用性という第一の変革が訪れていると述べた。
データの重要性がますます高まってきていることから、1つのベンダーが保持することが難しくなっており、オープンなデータフォーマットが求められているという。加えて、アクセス権、セキュリティ、ガバナンスを踏まえて、統合的に管理される。
そして第2の変革として、AIを用いたデータ活用が始まっている。井口氏は「生成AIによってデータが取り出しやすくなっている。画像などの非構造化データの特徴を抽出して構造化データにし、従来の構造化データと合わせて分析することが容易になっている」と説明した。
こうした中、Snowflakeはプラットフォーム、データエンジニアリング、アナリティクス、AI、アプリケーション&コラボレーションという5つの柱の下、企業がデータを活用するための基盤を提供している。井口氏は、これら5つの柱に分けて、「Snowflake Summit 2025」で行われた発表のポイントを紹介した。
プラットフォーム
井口氏は、「コンピュートエンジンの自由度を上げることが創業からの方針」と述べ、それを実現する新機能として、アダプティブコンピュートとアダプティブウェアハウスを紹介した。
これらは、アカウント全体で最適に共有されるリソースを自動選択し、クエリをインテリジェントにルーティングするコンピュートサービス。最小限の設定で自動クエリによるルーティングを実現する。コストパフォーマンスにも優れているという。
また、仮想ウェアハウスの更新版(第2世代)も発表された。前年比で2.1倍のパフォーマンス向上、同時実行されるBIワークロードに対して2.3倍のスループットが向上している。
データエンジニアリング
データエンジニアリングに関わる新サービスとして、Snowflake Openflowが発表された。井口氏は「大きなアナウンスメント。ETLに近いサービスで、Apacheのデータフローの会社を買収し、その製品をリブランドした」と語った。
同サービスは、データソースと宛先間のデータ移動を容易にする、オープンで拡張可能なマネージド型マルチモーダルデータ統合サービス。構造化、非構造化、バッチ、ストリーミングなど、あらゆるデータタイプをサポートする。
Openflowは、オープンソースのApache NiFi、OpenflowサービスとAPI、Openflowコネクタなどによって構成されている。コネクタは200以上提供しており、リアルタイムストリーミングにも対応するという。
アナリティクス
アナリティクスに関しては、新しいAIクエリ言語である「Cortex AISQL」が発表された。同言語は、SQL構文を用いて、構造化データとマルチモーダルデータ間のセマンティック関係に対し大規模にクエリを実行できる。
井口氏によると、これまではAIによってジョインしなければいけなかったが、Cortex AISQLにより、SQLの実行にAIを内包できるという。
また、エンド・ツー・エンドのデータ移行を支援する無償のソリューション「SnowConvert AI」も発表された。同製品は、AIによる自動化により、Oracle、Teradata、Google BigQueryといったレガシープラットフォームからのSnowflake移行を実現するもの。 コードとデータの抽出、変換、移行、デプロイ、監視を単一の画面で管理できる。
加えて、コード、BIレポート、ETLツールの自動変換および、変換後コードや移行済みデータの検証を自動化することで、データエンジニアによる移行作業の負担を軽減する。
AI
AIは同社の大きな事業の柱となっている。今回、AIエージェントに関する発表が行われた。その一つが、ビジネスユーザーが直接かつセキュアに組織のデータを自然言語で操作できるようインタフェース「Snowflake Intelligence」(近日中にパブリックプレビュー)。同製品はAnthropicおよびOpenAIのLLMを搭載し、構造化データ(テーブルやレコード)と非構造化データ(文書、会話、トランスクリプト)にセキュアに接続可能。
これにより、ビジネスユーザーが企業内のすべてのデータを活用してセルフサービス型の分析を促進する。
さらに、ビルトインのDeep Research Agent for Analyticsにより、検索にとどまらず、データの分析、複雑なビジネス上の疑問の調査、トレンドの把握と言ったインサイトを生成する。
データサイエンティスト向けには、Data Science Agentを提供する(近日中にプライベートプレビュー)。同製品はAnthropicのClaudeを活用して、データ処理、特徴量エンジニアリング、学習、評価、デプロイメントといったパイプライン全体を自動化する。また、すべての実行環境で、コード検証による次工程への反映とソリューションを提供する。
アプリケーション&コラボレーション
同社は、AI活用に最適化された外部コンテンツとデータの活用を目指している。それを実現するため、エージェント型Snowflakeネイティブアプリを提供する。
また、Snowflakeがパブリックおよびオープンソースのデータを取り込んで、整形・品質のチェックを行い顧客に提供する。
井口氏は、「エージェンティックAIのアプリをマーケットに展開できるようになった。アプリプロバイダー固有のエージェントを使って、業界特化、ドメイン特化のアプリを提供できるようになる」と説明した。