TDKは6月19日、スマートグラス向けのカスタムチップやアルゴリズムなどを開発するシステムソリューション企業の米・SoftEyeを買収し、完全子会社化したことを発表した。
視線だけでAIとやり取り - 新たなスマートグラス開発を加速
電子部品メーカーのTDKは、スマートグラス用の可視光フルカラーレーザー制御デバイスを2024年10月に開発するなど、スマートグラスの社会実装に向けた取り組みを進めている。
一方、米・カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くSoftEyeは、ユーザーと生成AIをシームレスにつなぐビジョンを追求しており、同社のカスタムチップやカメラ、ソフトウェア、そしてアルゴリズムの活用により、「AIのための目(eyeGenI、eyeGI)」となるエンドツーエンドシステムを実現するとのこと。特に同社が開発する常時稼働型カスタムチップとセンサシステムは、独自のハードウェアおよびソフトウェアによる“アイインテントテクノロジー”(視線意図検出技術)を搭載し、低消費電力で高度なアイトラッキングや物体認識を可能にするという。
TDKによれば、SoftEyeが有するこれらの最先端技術は、AR/VRディスプレイシステムに重要なものだといい、将来的には、視線の動きによってAIとのコミュニケーションを行える新たなヒューマンマシンインタフェース(HMI)を実現する鍵になるとする。そして今回の買収は、TDKのAIエコシステム全体に対する貢献に向けた取り組みとして重要なマイルストーンであり、こうした市場におけるリーダーシップの確立を強化するものだとした。
なお発表に際しTDKのジム・トラン執行役員は、「SoftEyeはアルゴリズム、カメラ、低消費電力チップ設計における専門知識を有しており、これによりTDKはAR関連技術の消費者向けアプリケーションの領域においてリーダーシップを発揮する」とコメント。一方でSoftEyeのテ・ウォン・リーCEOは、「私たちはユーザーと生成AIをつなぐAIグラス向け技術を開発しており、これは人々とAIを直感的かつ魅力的なユーザー体験で結びつけることができ、TDKのスマートグラスに関する戦略と合致している」とし、「さらに高度に統合されたソリューションを提供できると信じている」と表明している。