TrendForceによると、2025年第1四半期のファブレス半導体業界の売上高は前四半期比6%増、前年同期比44%増の774億ドルとなり過去最高を更新したという。

成長の背景には、米国の関税政策に対する在庫の早期確保の動きと、世界的なAIデータセンター建設需要があり、通例であれば季節的な閑散期であるところが堅調な需要が維持されたことが挙げられる。

  • 2025年第1四半期のファブレス半導体売上高ランキングトップ10

    2025年第1四半期のファブレス半導体売上高ランキングトップ10(四半期会計期間が1~3月以外の企業は、1~3月の売上高に調整。Qualcommは子会社のQualcomm CDMA Technologies(QCT)の売り上げのみ計上。NVIDIAはOEM/IP事業の売り上げを除外。Broadcomは半導体事業の売り上げのみ計上。OmniVisionは半導体設計・販売の売り上げのみ計上 (出所:TrendForce)

トップ10各社の動向

トップのNVIDIAの同四半期の売上高は前四半期比12%増、前年同期比72%増の423億ドルとした。これは、同社の新プラットフォーム「Blackwell」の出荷増加によるもので、第2四半期も輸出規制の影響があるものの、利益率の高いBlackwellへの置き換えが進むことで、影響の軽減が見込まれている。

2位はQualcommで、売上高は前年同期比18%増、前四半期比6%減の94億7000万ドル。モバイル向けQCT事業の季節要因による減収などが影響した。Qualcommは現在、AIスマートフォン(スマホ)のほかAI PC、自動車、IoT分野への積極的な事業展開を進めている。

3位はBroadcomで、売上高は前年同期比15%増の83億4000万ドルと過去最高を更新した。AIサーバ向け高速インターコネクトソリューションの拡充を図っており、102.4TbpsのCPO(Co-Packaged Optics)スイッチを発売したほか、複数企業とカスタムAI ASIC契約を締結している。

4位はAMDで、売上高はデータセンター部門の若干の弱含みと、ゲームおよび組み込み製品の低迷により前四半期比3%減、前年同期比36%増の74億4000万ドルとなった。次世代AI向けGPU「MI350」の量産を2025年後半より開始する計画で、2026年には「MI400」も発売する予定である。

5位はMarvellで、AIサーバコンポーネントの堅調な需要に牽引され、売上高は前四半期比9%増の18億7000万ドルとしている。大手CSP向けカスタムAI ASICの提供に加え、光インターコネクトソリューションの需要拡大も業績を押し上げる要因となっている。

6位はMediaTekで、中国のスマホOEMからのDimensity 9400+/8000シリーズに対する需要を背景に前年同期比50%増の46億6000万ドルを記録。7位のRealtekもPC関連の在庫積み増しやWi-Fi 7の普及、車載イーサネットの需要増などを背景に同31%増の10億6000万ドル。そして8位のNovatekも、中国の補助金政策や関税関連リスク回避の動きを追い風に同6%増の8億2500万ドルとしている。

9位のOmniVisionは、閑散期の影響でスマホ関連が停滞したものの、中国EVメーカーの運転支援システムへの採用拡大があったことから同9%増の7億3200万ドルとなった。また10位の米Monolithic Power Systems(MPS)は、AIデータセンター向け電源管理ICの需要増に伴い同39%増の約6億3800万ドルと過去最高を更新している。