東京エレクトロン(TEL)とベルギーのマイクロエレクトロニクス研究開発機関(IMEC)は、2nm以下の次世代半導体プロセス開発に向けて戦略的パートナーシップ提携期間を5年間延長すると、ベルギー王国大使館で6月16日に発表した。

  • ベルギー大使館で行われた、東京エレクトロンとベルギー・マイクロエレクトロニクス研究開発機関(IMEC)の戦略的パートナーシップ契約延長覚書の締結式にて筆者撮影。(左から)東京エレクトロンの河合利樹社長 兼 CEO、IMECのLuc Van den hove(ルク・ファンデンホープ)プレジデント&CEO

カギになるのは高開口度(NA0.55)EUVプロセスの量産適用であり、両者はエコシステムの構築を進めていく。

両者は30年間にわたってリソグラフィを主体に協業を続けてきた。2021年には、東京エレクトロン(TEL)がオランダの「imec-ASML共同高NA EUV 研究所」に塗布現像装置を導入し、金属酸化物レジスト(MOR)を含むEUVフォトレジストをつかった、パターニングソリューションの開発を進めると発表。その成果として塗布現像技術を共同開発し、欠陥制御の大幅な改善を実現したことが、EUVプロセスの量産適用につながったとしている。

こうした次世代技術の開発をさらに加速するため、戦略的パートナーシップを延長することにした。2nm(ナノメートル)プロセス以下の次世代パターニングや次世代のロジックデバイス、メモリの開発、3次元実装など、対象は広範囲に及ぶ。材料システムの最適化と欠陥制御の改善による性能向上に向け、高NAパターニング技術や次世代CFETデバイスのための成膜や、エッチング技術の共同開発に取り組むことにしている。

TELの河合社長は、「高NAリソグラフィだけではなく全工程を手がける。技術のイノベーションに対して前工程も後工程も関係なしに手がける」と、意気込みを語った。

IMECのファンデンホープCEOは、「東京エレクトロンとの関係を深化し、高NAのエコシステムを構築する。日本はこれまで大きな貢献をしてきたが、フォトレジストやマスクメイキングなど、これからファインチューニングすべきところは多い」と話している。

  • 東京エレクトロンとベルギー・マイクロエレクトロニクス研究開発機関(IMEC)の提携延長の調印式の様子。(左から)アントワーヌ・エヴラール(Antoine Evrard) 駐日ベルギー大使、東京エレクトロンの河合利樹社長 兼 CEO、ベルギー・マイクロエレクトロニクス研究開発機関(IMEC)のルク・ファンデンホープ(Luc Van den hove)プレジデント&CEO、マティアス・ディペンダール(Matthias Diependaele) フランダース州首相
    (出所:imec)

  • TEL 河合社長、IMEC ファンデンホープCEOによる会見の様子
    (出所:imec)