スペースデータは、「プライベート宇宙ステーション」を企業や個人向けに販売開始すると5月27日に発表。既に具体的な引き合いがあり、第1号案件の提供に向けて、関係先との協議・準備を進めているという。実業家の前澤友作氏や、元JAXA宇宙飛行士の山崎直子氏らがコメントを寄せた。
2030年に退役予定の国際宇宙ステーション(ISS)の後を見据え、米国航空宇宙局(NASA)は「Commercial Low-Earth Orbit (LEO) Development」プログラムを推進し、民間企業が保有・運用する新しい宇宙ステーションの設計・開発を支援している。米国を中心に民間企業が宇宙ステーションの開発を積極的に進めており、2030年代には複数の民間宇宙ステーションが地球軌道上で運用される時代が到来するとも期待されているとのこと。
スペースデータでは、今回発表したプライベート宇宙ステーションについて、研究開発や観光、エンターテインメントのほか、個人の居住空間や資産保有といったさまざまな用途に対応する“新たな宇宙インフラ”になるものと位置づけており、今回の取り組みは「個人が宇宙ステーションを所有する時代」を見据えたものとも説明している。
世界の複数の宇宙ステーションメーカーと連携し、クライアントのニーズに沿ったメーカー選定や機体カスタマイズ、宇宙ステーション運用支援(宇宙旅行サービス含む)、資金調達、財務戦略などのサービスを、スペースデータがワンストップで提供。企業や個人が、宇宙空間を資産戦略の範囲として組み込めるようになり、宇宙事業への参入障壁を下げることにつながるとする。
プライベート宇宙ステーションの運用支援として、宇宙旅行サービスの提供も予定。具体的には、宇宙輸送手配や宇宙での滞在サポート、宇宙環境での活動プログラムなどを提供し、宇宙ステーションの所有者や利用者がスムーズに宇宙へ行って快適に過ごせるよう、包括的に支援する。さらに同社のデジタルツイン技術を活用し、地球上でも宇宙旅行を楽しめるように「バーチャル宇宙旅行サービス」をあわせて提供するとのこと。
実業家・宇宙飛行士 前澤友作氏のコメント
ISSへの宇宙旅行を通じて、僕は宇宙が持つ無限の可能性と、人の価値観や人生観を根底から変えられる力を肌で感じました。
宇宙は、一部の国や巨大企業だけのものではなく、もっと開かれた、もっと多くの人が関われる場所になるべきです。
僕が願うのは、宇宙が「遠い特別な場所」ではなく、「みんなの身近な日常の一部」になること。
その第一歩として、「宇宙の民主化」を掲げるスペースデータさんの挑戦が、いよいよ始まりました。
個人が宇宙ステーションを持ち、みんなが自由に宇宙を体験し、活用できる。そんな未来が、もうすぐそこまで来ています。
僕自身が立ち上げたカブアンドも、「国民総株主」というビジョンを掲げ、特定の人だけが豊かになる社会ではなく、日本中の誰もが経済の成長や未来の恩恵を分かち合える世界をつくりたいという想いから始まりました。
宇宙に行くこと。宇宙に関わること。そして宇宙を活かすこと。
それらすべてが、僕たちの暮らしや未来を、もっと自由で、もっとワクワクするものに変えていく。そう信じて、僕はこの挑戦を全力で応援します。
元JAXA宇宙飛行士 山崎直子氏のコメント
日本実験棟「きぼう」が打上がり、国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)に接続されたとき、日本が自律的に使える「場」が宇宙にできたことに感動しました。そして現在、そうした地球周回の「場」は民間にも開かれようとしています。
ロケットや人工衛星に続き、宇宙ステーションでの人の滞在や活動もビジネスとして発展していくことで、宇宙の可能性はますます広がっていくでしょう。衣・食・住を含め、地上の営みがシームレスに宇宙へと繋がっていくからです。
そして、宇宙ステーションで地球と向き合い、私たち自身も宇宙の一部であると実感する人が増えたとき、どのような未来になっていくのか、想像をすると胸が高鳴ります。スペースデータさんが培ってきたデジタルツインやVR技術の強みと、宇宙ステーションという場、そして滞在する人々の創造性が融合し、相乗効果を生むことで、数多くのイノベーションが生まれることを心から楽しみにしています。