半導体市場動向調査会社である仏Yole Groupによると、2022年後半にChatGPTが起こした生成AIブームにより、HBMのビット出荷量は2023年に前年比187%増を記録した後、2024年も同193%増という記録を計測したという。

また、HBM市場規模も2024年の170億ドルから年平均成長率(CAGR)33%で成長し、2030年には980億ドルに達すると予測されるという。この結果、DRAM市場全体に占めるHBMのシェアは、2024年の18%から2030年には50%まで拡大すると予想されるとする。

  • HBM市場の2020年から2025年にかけての成長予測

    HBM市場の2020年から2025年にかけての成長予測 (出所:Yole Group)

中国勢もHBM市場での成長を狙う

SK hynixは現在、HBM市場をリードする存在として、2024年後半に12Hi HBM3Eの量産を開始したほか、2025年初頭には次世代の12Hi HBM4(36GB)のサンプル提供を開始するなど、積極的な攻勢をしかけている。

一方のSamsung Electronicsは、事業強化に向けてHBMポートフォリオの開発、DRAM設計の改良、HBM4世代向け4nmロジックダイの開発を積極的に進めており、HBM4についてはすでに試作生産段階にあり、2025年内のサンプル提供を計画している。また、Micron TechnologyはHBM3をスキップし、2024年にHBM3Eを市場投入し、NVIDIAのH200 GPUに採用されるなど、実績を重ねている。

Micronの生産能力は、 SK hynixやSamsungに比べると現在は限定的ながら、急速に生産量の拡大を図っており、2025年後半までに月産6万枚WPM(300mmウェハ)の達成を目指しているほか、2026年からのHBM4の生産開始を予定している。

AIチップとHBMに対する米国の輸出規制を受け、中国企業は国産代替品の構築に大規模な投資を進めている。例えばHuaweiは、XMC、SJSemi、TFME、JCET(いずれも中国企業)を含むコンソーシアムを率いてHBM機能を確立しようとしていると報じられている。

すでに中CXMTはHBM2のサンプル出荷を行っており、HBM2Eの開発も進めている。中国企業は、他国のメモリ企業との技術格差が約6年ほどあると見られているが、政府の支援や、中国の需要を活用できる点が強みとなり、今後の成長につながる可能性が高いとYoleでは指摘している。

  • 2025年時点のHBMサプライチェーン

    2025年時点のHBMサプライチェーン (出所:Yole Group)

微細ノードに向けて進む技術革新

DRAMは、スケーリング(微細化)に対する課題は増していくものの、アーキテクチャとプロセスイノベーションの活用により、0c/0dノード(1桁nmの第3/4世代、2033~2034年)へ向けて進化が続くと予想されている。

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