東京建物は5月21日、東京駅と日本橋駅をつなぐ大規模再開発事業「呉服橋プロジェクト」において設置される「高度金融人材育成施設」の先行施設として、東京・日本橋にデジタル金融施設「FIAN(東京フィナンシャル庵)」(呼称:フィアン)を5月26日に開所することを発表した。
これに伴い、同社は「呉服橋プロジェクト」および「FIAN」開設の経緯や戦略について説明する記者発表会 兼 施設内覧会を開催した。
発表会には、東京建物 代表取締役 副社長執行役員の和泉晃氏、AIと金融の未来研究会 座長/東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏、エグゼクティブ・プログラム開発支援 石塚昭浩氏(元NTTデータ経営研究所)、東京都産業労働局 国際金融プロモーション推進担当部長の三浦知氏が登壇した。
-

左から東京都産業労働局 国際金融プロモーション推進担当部長の三浦知氏、東京建物 代表取締役 副社長執行役員の和泉晃氏、AIと金融の未来研究会 座長/東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏、エグゼクティブ・プログラム開発支援 石塚昭浩氏(元NTTデータ経営研究所)
デジタル金融分野のイノベーション創出を支援する「FIAN」
「呉服橋プロジェクト(八重洲一丁目北地区市街地再開発事業)」は、東京駅と日本橋を地下で接続することで、日本最多となる「10駅連結」の広域地下歩行者ネットワークを実現するプロジェクト。
1日に約36万人の利用者を持つ日本橋駅が連結することで都市空間のポテンシャルが向上することに加え、接続する百貨店やショッピングセンターが加わることで商圏が拡大することが期待されている。
今回、開設される「FIAN」は、呉服橋プロジェクトに整備予定の高度金融人材サポート施設の先行施設として開設されるもので、グローバル金融エコシステムを発展させ、デジタル金融分野のイノベーション創出を支援する施設だ。
同施設は、東京建物がグローバル金融エコシステムのプレーヤーと連携を取りながら企画運営するもので、金融機関とグローバルなエコシステムの最前線プレーヤーとの機能的かつ実践的な交流促進を通じて、会員企業のデジタル金融分野におけるイノベーション創出を支援し、グローバル金融エコシステムとの架け橋になることを目指す。
「『FIAN(東京フィナンシャル庵)』という名前には、茶室=庵で、イノベーションを創出した茶人のように、高い志を持って共存し合う空間でありたいという想いが込められています」(和泉氏)
FIANの特徴は「デジタル金融」との掛け算
FIANの特徴としては、「デジタル金融」の分野に「グローバル」「次世代金融リーダー向けの学びの場」という2つを掛け合わせていることが挙げられた。
「デジタル金融×グローバル」においては、デジタル金融・フィンテック分野における世界有数のアカデミアと連携するほか、シンガポールのエコシステムプラットフォーマーと連携していく。
さらに「デジタル金融×次世代金融リーダー向けの学びの場」においては、「AIと金融の未来研究会」を設置し、金融セクターの次世代リーダーを対象とした、エグゼクティブMBAに準じる非学位型実践的教育プログラム「エグゼクティブ・プログラム」を先行提供する。
エグゼクティブ・プログラムは、オックスフォード大学教授陣などと提携した最先端プログラムで、対面・少人数形式で会社の垣根を越えて幹部候補生が学び合う場を提供するという。
現在、金融軸(永代通り)の集積機能の現状としては、大手町から日本橋、兜町にかけて、大手銀行や証券会社などの本社、中央銀行、証券取引所、地方銀行の東京支店が集積している。さらに近年では、フィンテックや資産運用業のスタートアップ・インキュベーション施設が開設されているという。
「現在、金融軸沿いにはすでに主要な金融機関が集まっています。そこに社会人向けリスキリング・アップスキリング機能を新設し、教育を通じた横のつながりの拡張によるエコシステムの強化を図ることで、金融人材の高度化、新規事業の創出促進、金融セクターの産業競争力に貢献します」(和泉氏)
気になるFIANの中は……?
最後に行われたFIAN内の内覧会では、施設内の設備や内装が紹介された。
入り口には「垂直和室」というタイトルのアートが常設される。この作品は、人と人が出会い、語り合う「一期一会」の茶室の精神を、垂直に立ち上がる四畳半と、自ら光を放つ円形の鏡で表現したもの。
中心に据えられた鏡は、ゆっくりと回転しながら、鑑賞者の姿と光の三原色であるRGB(赤緑青)を映しており、これによって鏡の「私」とRGBの三色が表す「他者」との関わりを描いているという。
さらに奥にはコワーキングスペースが設置されており、手前が開放的でコミュニケーションが取りやすいスペース、奥側が1人で集中して作業がしやすいスペースとなっている。用途によって使い分けできるように光の強さを変えているそうで、奥の集中しやすいスペースは光を絞ってより没入的な作業が行えるように工夫しているとのこと。
それ以外にもテレワークスペースや4つの会議室、国内外の人と交流することができるオンライン環境や音響設備が整ったセミナールームなど、次世代金融リーダー向けの学びの場としてのこだわりがたくさん詰まっていた。







