【トランプ・ショック】トヨタは現地生産で対応 米系メーカーにも影響必至

「どう対応すべきか、何が起こるのか、いろんな要素がある。 シナリオを1本にできないのが今の状況だ」(トヨタ自動車副社長の宮崎洋一氏)。トランプ関税が発動されても、現時点でトヨタは慎重な姿勢を貫いている。

 既に同社は米国で販売する233万台のうち127万台と5割近くを米国内で生産。「米販売の8割を輸入に頼るマツダや全量を輸入する三菱自動車に比べると影響は少ない」(アナリスト)と言われるが、「トランプ政権へのメッセージ」(同)とも捉えられる米国投資も実行。米ウェストバージニア州の工場に約125億円を追加投資する。

 一方、水面下では「どのサプライヤーがどこで、どの部品を製造しているか。また、生産拠点の移管の可能性も含めて洗い出しをしている」(関係者)。

 米国での生産比率が7割に上るホンダと違い、トヨタは米国販売台数のうち53万台は日本からも輸出している。その背景には「国内生産300万台」を死守し、日本の雇用への影響を最小限に留めようとしているからだ。

 一方で米国の自動車メーカーを利するはずのトランプ関税だが、「(自動車を製造するための)金型やバッテリーは日本から輸入している。それらが輸入できなくなれば『デトロイトの会社はクルマが作れなくなる』といった声も聞く」(別の関係者)。

 米国販売台数のうち輸入比率が5割に上るゼネラルモーターズは25年度業績予想を撤回。営業黒字から営業赤字に転落すると発表した。クライスラーを傘下に持つステランティスも米国内5カ所の工場で900人を一時解雇すると決めている。

 米国内消費の減退のみならず、雇用にも影響が出ればトランプ大統領も政策の転向を考えざるを得なくなる。実際、自動車・部品に対する関税について負担を軽減する大統領令に署名した。市場動向を見極め続けるトヨタとトランプ氏の神経戦が続く。

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