Rapidusを中心に北海道の経済成長を目指す組織が設立
2nm半導体の日本での量産を目指す「Rapidus(ラピダス)」が北海道千歳市に整備を進める次世代半導体の製造拠点がもたらす経済効果を活用し、北海道全体の産業構造や地域の可能性を見直し、将来にわたる成長基盤を再構築することを目的とする協議会「北海道バレービジョン協議会」の設立総会が新千歳市で開催された。
同協議会は、単なる地域振興や個別企業の誘致を超えた、産業政策・人材戦略・社会基盤の再設計を総合的に描く構想プラットフォームとしての役割を担う団体という位置づけで、設立総会では同協議会の会長に就任した北海道経済連合会会長の藤井裕氏より「Rapidusによるこのプロジェクトは、北海道の経済振興にとどまらず、日本全体の産業競争力の強化、ひいては経済安全保障の観点からもきわめて重要なものである」との挨拶が述べられたほか、「従来の公的主導に加え経済界も先頭に立って産官学金の知見を結集し、“オール北海道”で新たなビジョンを描き、動かしていく場である」とのコメントが出された。
中長期的には石狩から北海道全域へ
また、総会では同協議会の初期ビジョンとして掲げる「北海道バレービジョン(石狩管内版) 1.0」の概要が紹介された。
同ビジョンはRapidusの存在を一拠点にとどめず、次世代技術・人材・資本が北海道全域で循環し、北海道が未来産業の土台を築くエリアへと飛躍するための中長期構想であり、石狩管内を対象とすることを基本的な枠組みとし、今後は北海道全域を対象へと拡大していくことを目指すとする。
また、同協議会としては、中短期の施策推進は「ANIC(北海道新産業創造機構)」が担うことを踏まえ、長期的視点から構想と対話を踏まえ、北海道全体の将来像を構築するシンクタンク機能を担うことを目指すという。
発足時会員は企業のほか、自治体や大学など36団体
なお、同協議会の発足時の会員は、Rapidusのほか、日本通信、東日本電信電話、北洋銀行、北海道銀行(ほくほくフィナンシャルグループ)、北海道経済連合会、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、札幌日本大学学園、千歳科学技術大学、北海道大学、北海道文教大学、立命館慶祥中学校・高等学校、鹿島建設、清水建設、全日本空輸、大成建設、電通北海道、東急、日本航空、日本エスコン、NEC、北海道エアポート、北海道商工会議所連合会、北海道電力、三菱地所、デジックアドヴァンス、ノーザンホースパーク、石狩市、恵庭市、江別市、北広島市、札幌市、新篠津村、千歳市、当別町、苫小牧市といった産官学金の36団体となっている。
今後、同協議会では複数のテーマに応じた専門部会を組成し、産業振興・人材育成・地域連携などの分野で具体的な議論とプロジェクト形成を進めるとともに、北海道バレービジョンのブラッシュアップも図っていく予定だとしている。