LINEヤフーは5月7日、2024年度 通期および第4四半期 決算に関する決算説明会を開催した。説明会には代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の出澤剛氏とCPO(Chief Product Officer)の慎ジュンホ氏が登壇した。

売上収益は前年度比5.7%増

2024年度通期の実績は、全社の売上収益が前年度比5.7%増の1兆9174億円、調整後EBITDAは前年度比13.5%増の4708億円となった。

メディア事業の売上収益は前年度比4.2%増の7316億円、調整後EBITDAは前年同期比11.6%増の2839億円となった。コマース事業の売上収益は前年度比2.6%増の8483億円、調整後EBITDAは前年度比3.6%増の1484億円となった。

売上収益の増加に関して、出澤氏は「メディア・コマース・戦略が増収増益。全社調整後EBITDAは前年度比で13.5%の成長を見せた」と説明した。

  • 2024年度の実績

    2024年度の実績

セグメント別で業績を見ると、メディア事業は利益率の高いアカウント広告が前年度比18.9%増と大きく成長し、デジタルコンテンツも好調な着地となった。199億円の増収を遂げたアカウント広告事業は従量課金と有償アカウント数が拡大したことが売上を引っ張る形となった。

一方でディスプレイ広告の領域は35億円の減少となった。この要因として、出澤氏は「LINE広告・Yahoo!広告ともにインプレッション数は増加したものの、一部業種の需要が低下し減収した」と説明した。

  • メディア事業 売上収益

    メディア事業 売上収益

コマース事業は、子会社の選択と集中により、調整後EBITDAマージンが改善を見せた。前年度の一時益(94億円)があるものの、ZOZO・アスクル・Yahoo!ショッピング・トラベル・リユースといった各プロダクトの成長により増益した。

  • コマース事業の業績推移

    コマース事業の業績推移

戦略事業は、PayPay連結の成長により、売上収益は前年度比371億円となる3412億円を突破。売上増収の要因は「キャンペーン実施などによる連結取扱高の成長に伴う決済手数料の収入増や、リボ残高の拡大に伴う金利収入の増加」だという。

事業成長に加え、今期はコスト効率化に取り組んだことが功を奏し、利益が4.5倍に成長しているという。

  • セグメント別の業績を説明する出澤氏

    セグメント別の業績を説明する出澤氏

2025年度 「全社で1桁後半%の増収増益を計画」

同社は2025年度の連結業績ガイダンスにおいて「全社で1桁後半%の増収増益を計画」していることを発表した。

全社の売上収益においては前年度比約9%増となる2兆1000億円を目指すとともに、調整後EBITDAは前年度比6.2%~8.3%となる5000~5100億円を目標とする。

  • 2025年度 連結業績ガイダンス

    2025年度 連結業績ガイダンス

さらに資本効率改善の方針として「成長投資とのバランスを取りながらFCF(フリーキャッシュフロー)の最大化と株主還元を実施」することが紹介された。

FCFの最大化においては、今後3年間で調整後EBITDA・調整後EPSともに1桁後半以上の増益を継続することを目標とし、持分法適用関連会社は2025年度で四半期黒字化とし、その後は増益維持を目指す。

加えて、株式還元としては、機動的な自己株式の取得をはじめ、利益成長を意識した安定配当を実現し、今後5年間で累計総還元性向70%以上を目指す。

  • 資本効率改善の方針

    資本効率改善の方針

AIエージェントで「WOWで!な体験」を

最後に、2025年度の経営方針として「LINE公式アカウント・LINEミニアプリ」「PayPayを中心としたデジタル金融プラットフォーム」「AIエージェント化の推進」といった3点に取り組むことが発表された。

「LINE公式アカウント・LINEミニアプリ」に関しては、LINE公式アカウント・LINEミニアプリの潜在市場が非常に大きいとして、2025年度はサービス基盤の強化をさらに推進し、「DXソリューションの営業強化」「ユーザーの利用増加施策」「ARPAの向上施策」を強化する。

「PayPayを中心としたデジタル金融プラットフォーム」については、2025年4月からはPayPayの新しい支払方法として「PayPay銀行残高」の提供も開始されるなど、PayPayの基盤を活用し、各サービスの成長をさらに加速させる。

今後、PayPayは「決済アプリ」から「デジタルプラットフォーム」への進化を目指し、PayPay銀行・PayPay証券・PayPayほけんといった各サービスとの円形強化で金融事業の成長を加速させていく。

  • PayPayは「決済アプリ」から「デジタルプラットフォーム」へ

    PayPayは「決済アプリ」から「デジタルプラットフォーム」へ

「AIエージェント化の推進」については、「全サービスのAIエージェント化」「今後3年間で生産性2倍」を目指して、toC向けサービスのAIエージェント化を本格始動させることが発表された。同社は、日常をあらゆる場面で支えるAIエージェントを目指し、パーソナルエージェントが数千万のエージェントと連動し「WOWで!な体験」を提供していくという。

  • LINEヤフーのAIエージェントの全体像

    LINEヤフーのAIエージェントの全体像

慎氏は「LINEヤフーは『インターネットカンパニー』から『AIカンパニー』へと進化していきます」と今後の意気込みを見せていた。

  • LINEヤフーのAIエージェントについて説明する慎氏

    LINEヤフーのAIエージェントについて説明する慎氏