三菱重工グループの三菱造船は、新日本海フェリーから受注した大型カーフェリーの命名・進水式を三菱重工業下関造船所江浦工場で4月29日に実施。新日本海フェリーの入谷社長により「けやき」と命名された。同船は今後、北海道・小樽市と京都・舞鶴市を結ぶ航路に就航予定とのこと。
けやきは旅客船兼自動車渡船として就航。国内フェリー初となるダックテール(アヒルの尻尾のような船体形状)を有するバトックフロー船尾船型や、垂直船首形状などを採用したほか、船舶の横揺れを軽減するアンチローリングタンクと、フィンスタビライザ(可動フィン)を組み合わせた減揺システムによって推進抵抗を抑え、従来船と比べて5%の省エネを追求した。
今後、艤装工事や試運転などを経て、2025年12月に引き渡す予定。新日本海フェリー向けのフェリーとしては9隻目の引渡しとなる。主な諸元は、大きさが全長約199m、幅約25.5mで、総トン数は約14,300トン。旅客定員は286人で、トラック約150台/乗用車約30台を積み込める。航海速力は約28.3ノット。
三菱造船によると、国内ではCO2排出量の削減による環境負荷低減、トラックドライバー不足・働き方改革の観点から、海上輸送へのモーダルシフトが進行しており、フェリーの活用が注目されているという。今回の大型カーフェリーは、新日本海フェリーのほかに鉄道建設・運輸施設整備支援機構からも受注しており、今回進水したけやきは1番船になるとのこと。