
「高額療養費制度」に関する超党派の議員連盟が発足した。会長には自民党の武見敬三前厚生労働相が就任し、「国際的にも優れた制度だ。不必要に政治問題化することなく、丁寧に議論できるように議連を通じて役割を果たしたい」と、衆院で少数与党であることを念頭に置いた挨拶をした。議連は今後、政府に要望活動を行うが、各党間の足並みをそろえられるかが課題だ。
超党派の議連発足は患者団体が強く働き掛けた。全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「厚生労働省ペースで制度見直しの議論をすると、まだ同じ結論が出てしまうかもしれない。議連には積極的に制度設計へ関わって欲しい」と期待を寄せている。
議連事務局長によると、3月24日時点で与野党の計約100人が議連に入会。今後も増えていく見通しだ。ただ、超党派だけに制度見直しの在り方について各党間の隔たりは大きい。
例えば、立民の山井和則衆院議員は設立総会で、「軽症者向け医療費をまず抑制し、命に関わる高額療養費に手を付けるのは最後ではないか」と述べた。
これに対し、武見会長は厚労相経験者だけに「医療が高コスト化していることを踏まえて検討すべき」と、一定の負担上限額の引き上げをやむを得ないというのが持論。立民幹部は武見氏について「今夏に自身が出馬する参院選を前にしたアピールに過ぎない」と冷ややかだ。
高額療養費を巡っては、健康保険組合連合会など保険者も負担上限の見直しを不可避との立場だ。厚労省幹部は「昨年末の見直し案は、患者団体の意見を十分聞かなかったので役所が批判されてもしょうがない。でも、声が大きい勢力の意向が通るのも少し違うのでは」と困惑している。