2030年には90億ドル市場に成長が期待されるオーディオIC市場
Yole Groupによると、MEMSマイク、MEMSマイクロスピーカー、オーディオ処理を含む2024年のオーディオIC市場は71億ドル規模に達したほか、2030年には90億ドルにまで成長が予測されるという。
この2024年~2030年にかけての年平均成長率(CAGR)は3.7%で、市場の96%以上がコンシューマ、2.5%が医療分野で占められるという。
コンシューマ市場の中でもスマートフォン(スマホ)がけん引役となっており、マイクに加え、マイクロスピーカーについてはTWS(完全ワイヤレスデバイス)とヒアラブルデバイスの市場が伸びている。また、AR/VR分野も、音声が主要なインタフェースの1つとなるため、市場拡大の可能性があるとしている。
このほか、自動車市場は、インフォテインメント向けにマイクが適用されているほか、RANC(Road Active Noise Cancellation:ロードアクティブノイズキャンセリング)アプリケーション)が今後、市場を伸ばすことが期待されるとする。また、産業機器市場はオフィススピーカーと会議用電話がけん引役、医療市場は、補聴器向けマイクとマイクロスピーカーがけん引役となっているとする。
価格低下で競争が激化するローエンド市場
マイク業界は二極化しており、SNR>65dBのハイエンド市場は安定している一方、ローエンド市場はエンドシステムの需要の急増と熾烈な競争に見舞われ、価格が下落する傾向にある。WLP(Wafer-Level Packaging)のシェアはGoertekが26%でトップ、次いでKnowlesの23%となっている。また、Infineon Technologiesは2024年に26億ユニットを出荷し、MEMSマイクダイ市場でシェア38%を獲得したとする。
一方のコーデック市場は、Cirrus Logicがシェア30%でトップ、次いでQualcommがシェア27%となっており、HiSiliconがシェア12%でそれに続いている。
このほか、オーディオプロセッサ市場は多様化を見せており、プレイヤーが多いのは米国と中国で、次いで欧州となっている。ただし、スマートスピーカープロセッサ市場のトップは台湾MediaTekで33%、次いでAppleの20%、Allwinnerの15%、Qualcommの14%と続いている。
MEMS技術のトレンドとしては、マイク向けとしては静電容量検出法が多く用いられているが、市場は成熟しているため低価格化が進んでおり、圧電検出に取り組む企業も出てきている。また、SNRは、適切な音声キャプチャと音声認識にとって重要な要素であり、TWSの成長により高SNRマイクの必要性が高まりを見せるようになっている。
MEMSマイクには、低消費電力、高い再現性と均一性、組み立ての信頼性が高い、規模の経済による平均販売価格の低減が可能、防塵・防水性といった特徴がある。一方、優れたMEMSマイクロスピーカーを作成する上での主な課題の1つは、全周波数範囲をカバーできるようにすることだという。