米政権が打ち出す対中関税の影響で値上がりが予想される人気製品の1つが、Appleの「iPhone」だ。Appleは中国依存を弱めるべく、以前からインドでの製造強化を図っている。その一部を担うと期待されているのがFoxconn(鴻海精密工業)のプロジェクト「Project Elephant」だ。

「Project Elephant」とは

Project Elephantは、Foxconnにとって中国外では2番目の規模の拠点を目指している。バンガロール郊外のデーヴァナハッリに25億ドルを投じて建築中で、面積は13万平方メートル、サッカー場220個相当という巨大さだ。4万人の雇用創出の見込みだという。

バンガロールを含むカルナータカ州政府は2023年に同プロジェクトを承認、従来は農業地帯だった周辺の不動産価格は35%上昇し、Foxconnは住居の確保も進めているとのこと。同地域では、iPhoneのサプライヤーであるWistronも約3000人を雇用する大規模な施設を建築中だ。ドイツのSAPもオフィスを構えている。

Project Elephantは、iPhoneをはじめとした電子機器を製造する。AppleはインドでのiPhoneの生産台数を最大3000万台に倍増させる計画だという。Donald Trump(ドナルド・トランプ)政権は、4月はじめより関税政策を次々と打ち出しており、対中では関税率145%となっている。Appleは関税政策が打ち出される前の3月、過去最高となる約20億ドル相当のiPhoneをインドより輸送したと報じられている。

FoxconnはProjet Elephantに加えて、電気自動車部品の「Project Cheetah」も進めており、2つのプロジェクトにより数万単位の労働者の流入が予想されている。rest of worldが4月17日付でプロジェクトをレポートしている。

一方、ReutersによるとiPhoneは世界で年間2億2000万台以上のiPhoneを販売する。米国で販売されるiPhoneのうちインドからの輸入品は約5分の1以上を占めるに至っているという。