島津製作所と東北大学は4月18日、2024年3月に設置された「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」において、全面改装を施した独立棟を利用した新たなラボを開所したことを発表した。
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島津製作所 分析計測事業部 Solutions COE ヘルスケアソリューションユニットの山口亮氏、同社代表取締役社長の山本靖則氏、東北大学 理事(産学連携担当)の遠山毅氏、東北大大学院 医学系研究科の赤池孝章教授(左から順)(出所:島津製作所)
独立棟を全面改装しさらなる研究の効率化・高度化へ
東北大大学院 医学系研究科 レドックス分子医学分野の赤池孝章教授は、生体が超硫黄分子を介してエネルギー代謝を行っていることを、2017年に初めて確認。その後2020年には島津製作所と共同で研究を開始し、翌2021年には同社製液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)を用いて、生体内の超硫黄分子を測定するソフトウェア「LC/MS/MSメソッドパッケージ 硫黄代謝プロファイリング」を開発した。
こうした成果を受け島津製作所と東北大は2024年3月、生体の老化メカニズムに関する超硫黄分子の特性を明らかにすることを目指し、2027年3月までの3年間を予定した共同研究の拠点として、超硫黄生命科学共創研究所を共同で設置。東北大の既存設備を用いて、共同研究を行ってきたとする。
ただ両者はより効率的かつ高度な研究を実現するため、これまでに研究と並行して2階建て独立棟の改装を進めてきたとのこと。そして今般、新たなラボとしての開所に至ったという。
全面改装が施された新ラボでは、研究スペースが従来の研究室から約4倍に拡張され、LC-MSやガスクロマトグラフ質量分析計などの複数の分析計測機器を設置。これにより研究環境が向上したといい、超硫黄分子が有する特性の解明や、イメージング質量顕微鏡による超硫黄分子の臓器内分布の観察にも取り組むなど、より効率的かつ多角的な研究が可能になるとする。
新ラボ開所に際し両者は、解析技術の発展を通じて、生体の老化メカニズムに関連する超硫黄分子の特性を解明するとともに、さまざまな疾患における早期の診断や治療法の確立、さらには医薬品・機能性食品の開発など、さまざまな分野に研究成果を展開することを目指すとしている。