TSMCが第1四半期と3月単月の売上高記録を更新
TSMCが2025年3月ならびに第1四半期(1~3月)の売上高(速報値)を発表した。
それによると、当該月の売上高は前月比10.0%増、前年同月比46.5%増の2859億5700万NTドルとなり、3月単月売上高として過去最高を更新したという。
また、それに併せて第1四半期の売上高は、前年同期比41.6%増の8392億5400万NTドルとなり、こちらも第1四半期の売上高として過去最高を更新したという。
同社は、2025年1月に同第1四半期のガイダンスを250~258億ドル(1ドル=32.8NTドル換算で8200億NTドル~8462億NTドル)としており、ガイダンスの上限に近い結果となった。同社は2025年2月、同年1月に台湾で発生した地震の影響により、ガイダンスの下限に留まる可能性があるとしていたが、2024年から続くAI半導体需要が高止まりした結果、好業績を維持している模様である。
中国関税当局が半導体の原産地判定を変更、前工程の場所で判定
中国の半導体業会団体「中国半導体行業協会(CSIA)」が4月11日、会員企業向けに半導体製品の「原産地」を判定する新たな規則に関する「緊急通知」を告知したと多数の中国メディアが報じている。
この通知は、中国税関総署(日本の財務省関税局に相当)の規定改定により、「集積回路の原産地判定基準」が変更されたことを伝えるもので、それによると、従来の半導体パッケージングが行われた国や企業本社所在地ではなく、ウェハが製造された国(前工程工場が所在する国)を原産地とみなすことになったという。
従来、米国や中国、日本など多くの国の税関は、「最終的な実質的変更(Substantial Transformation)」が行われた国を原産地とみなしてきた。半導体で言えば、設計や前工程ではなく、最終的なパッケージングが行われた国が原産国とされてきたが、中国の新ルールではウェハ製造地に焦点を絞っており、特定の国(米国)の製造業を狙い撃ちする意図があると見る業界関係者もいる。
最先端ロジックの多くは、設計を米国企業が行って、ウェハ製造は台湾のTSMCが担当、最後のパッケージングをアジアで行うといった国際分業体制が一般的であるが、中国の新ルールでは、原産地を台湾(中国の一部)とみなし、米国製品に対する高関税を課さないことになったという。逆に、米国の前工程工場で製造された場合、パッケージングを東南アジアなどで行っても、原産地は「米国」となる。
この規定改定により、NVIDIAやAMDなどのファブレスがTSMCに生産委託した半導体チップは、米国製品ではなく台湾製品とみなされ、中国当局により米国製品に課される可能性のある高関税を回避できることになるという。一方、米国で前工程処理された半導体は、中国当局から最大125%の関税を課される可能性がある。
中国が台湾で製造された半導体を関税の対象から外すことは、かねてから中国が主張してきた「台湾は中国の一部」という政治的なメッセージを示す意図があるとみられるほか、TSMCで製造された米国企業の先端製品を中国のエンドユーザーに入手しやすくする狙いもあると見られる。また、中国政府はTSMCを優遇することで、2024年第4四半期には9%まで落ち込んだTSMCの売上高に占める中国シェアを増加させたい狙いもあるようだ。