【財務省】減税訴える「財務省デモ」 官僚志望者の減少を懸念

減税などを訴える財務省周辺でのデモが続く中、3月14日、加藤勝信財務相はデモ参加者から財務省に対し「増税路線」などと批判の声が出ていることに関し、「背景には実質賃金が上がらない、生活の中で負担感が高まってきていることがある」と指摘。その上で「経済あっての財政という形で経済再生と財政健全化の両立を図っていく。私どもの考え方をしっかりと説明させていただきたい」と増税方針を否定し、国民の声に配慮する姿勢を強調した。

”ザイム真理教”と財務省を揶揄するような声については、コメントを控えるとした上で「国民から期待されている役割をしっかり果たす役割を大臣として取り組む」と話した。

 デモを巡っては暴力事件も発生し、物価高の長期化で広く注目され始めている。財務省内では「減税しているのに目の敵にされるのは心外だ」(中堅)という受け止めが多い。「ますますキャリア官僚を目指す人が減るのでは」(同)と人材確保への影響を懸念する声も出ている。

 加藤氏は財務省への批判を含め、デモの鎮静化を図りたい考え。ただ、石破茂政権の支持率は石破首相の商品券配布問題を受けて急落し、今夏に参院選を控えて政府・与党からは「国民にも1人あたり10万円の商品券を配れといわれかねない」(閣僚経験者)など、財務省への批判が和らぐ材料は乏しい。

 「石破首相とは依然距離がある」(自民幹部)加藤氏にしてみれば、2025年度予算案が再修正を経て、与野党の激しい攻防の末に年度末成立にこぎつけたことが「少数与党の中で財務大臣として最大の成果」(加藤氏周辺)ということなのだろうか。

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