東京大学(東大)大学院 新領域創成科学研究科は4月1日、「フュージョンエネルギー学際研究センター」を同日に開設し、センター長に同研究科の江尻晶教授が就任したことを発表した。

脱炭素社会の実現が目指される中、持続可能な形で社会発展を続けながらカーボンニュートラルを実現するには、豊富かつコントロールされた新たなエネルギー源の確保が必要不可欠となる。

水素などの軽い原子核同士が高温・高圧化で融合して別の重い原子核に変わる際に発生する「核融合エネルギー(フュージョンエネルギー)」は、カーボンフリーかつ燃料が偏在しないことから、次世代の大規模集中型エネルギー源として期待を集めているとのこと。同エネルギーは、連鎖反応や爆発リスク、高レベル放射性廃棄物への懸念などが無く、安全性が高いとされており、発電部門の大幅な脱炭素化への貢献に加え、エネルギー面でのサプライチェーンや安全保障のあり方に本質的な転換をもたらすキーテクノロジーとなりうるとする。

今般東大では、それらの研究を専門とするフュージョンエネルギー学際研究センターを開設し、4つの部門(定常運転技術部門、革新的閉じ込め部門、先進計測・制御部門、フュージョンシステム部門)を設置。フュージョンエネルギーの実用化に重要となる要素技術の開発を加速し、定常運転、革新的閉じ込め、先進計測・制御の各部門の成果を統合したシステム研究を推進するといい、国内外・産学にわたる組織連携の中核として活動することで、その実用化を加速するとした。

また同センターでは、挑戦的な技術革新を目指す研究開発で得た経験を社会や産業の幅広い分野に応用し、新たなイノベーションの創出につなげていく意欲のある人材、特に若手研究者の育成に取り組むとしている。