鳥取砂丘につくられた、月面の環境を摸した実証フィールド「ルナテラス」で月面探査ローバーの技術を競う、学生全国大会「鳥取ローバーチャレンジ2025」が3月22日に開催された。全国の大学や高等専門学校、技術系高校の学生からなるチームが参加できる、日本初の大会だという。

  • 鳥取砂丘の月面実証フィールド「ルナテラス」で、探査車の技術競う学生全国大会「鳥取ローバーチャレンジ2025」が3月22日に開催。写真はエキスパート部門の大会時の様子

「鳥取砂丘から月へ! 未来の探査技術を切り拓け!」をコンセプトに、学生にロボティクスと宇宙探査技術の実践的な学習機会を提供。競技や交流を通じて創造性や技術力を育成することを目的としている。また、学生向けの月面探査ローバーの開発体験を提供する大会として、“将来的な宇宙開発や探査ミッションに参加する技術者や研究者の登竜門”と位置づける。

大会には計8チームが出場。初心者向けの「エントリー」部門と、高度な技術を競う「エキスパート」部門があり、エントリー部門には鳥取大学の宇宙開発研究会「T-SAT」など5チームが参加。エキスパート部門には、大学生を対象とした世界最高峰のロボット工学コンテストとされる「URC」に日本チームとして2024年に初出場した、国際ローバー開発プロジェクト「KARURA」なども参加した。

  • エキスパート部門の大会時の様子

競技では砂丘を月面に見立て、学生たちが開発したローバーを走らせ、障害物を避けながら走行距離を争う「自律走行」、岩石サンプルを採取して分析する「科学探査」、測量や資材運搬などを行う「無人建設」などのミッションがあり、設定されたミッションをどれだけ達成できるかを競った。

優勝したのは、エントリー部門が東京情報大学「SuperNOVA」。エキスパート部門は、東北大学や慶應義塾大学などによる「ARES Project」。

  • エントリー部門の大会時の様子

鳥取県は2021年度に、「産業未来創造課」を県庁内に新設。宇宙産業の伸長が見込まれる中、地域の未来を担う新産業のひとつに位置づけ、宇宙産業を創出するチャレンジを始めており、「ルナテラス」への実証試験誘致もその一環としている。

ルナテラスは、砂丘の起伏や砂の特性が月面の環境と似ていることから、鳥取大学乾燥地研究センターの敷地内に設置。約0.5ヘクタールの広大な敷地に、長さ100m×幅10mの平面ゾーン、5度から20度までの傾斜がある長さ23m×幅50mの斜面ゾーン、利用者が自由に掘削したり造成したりできる45m×50mの自由設計ゾーンの3種類の区画を用意している。