米オラクルは3月18日(現地時間)、 Java 24 (Oracle JDK 24)を発表した。Java 24リリースでは、AI関連の機能やポスト量子暗号機能など、24の新機能が導入されている。以下が、JDK 24における新機能となる。
AI関連の機能強化が進むJava
米オラクル Javaディベロッパー・リレーション担当バイスプレジデント チャド・アリムラ氏は、Oracle Java AIの3つの戦略として、以下を挙げた。
- ビジネス・ロジック、ネイティブAIワークフロー、クラウド・サービスの統合
- AI推論に最適なJavaプラットフォームの実現
- AIコンピューティングと機械学習にJavaを活用
アリムラ氏は、「すべてのワークロードにおいてGenAIを使ってコードを生成し、すべてのステップでJavaが大きな役割を果たす。AIと共にJavaも進化する」と語った。
新機能のうち、以下がAI関連のJEPSとなる。
JEP 488:プリミティブ型のパターン、instanceof、switch (第2プレビュー)
この機能により、開発者がパターン・マッチング、instanceof、switch を使用する際に遭遇するプリミティブ型に関する制約が取り除かれ、パターン・マッチングの強化が図られる。ビジネス・ロジックとAI推論のプリミティブ型の統合が簡単になるという。
JEP 494:モジュール・インポート宣言(第2プレビュー)
この機能では、インポート・コードをモジュール自体に配置する必要がないため、モジュールがエクスポートしたすべてのパッケージを迅速かつ簡単にインポートできるようになる。
この機能はビジネス・ロジックをAI推論、ライブラリ、サービス・コールとより簡単に統合するという。
JEP 489:Vector API(第9インキュベーター)
この機能により、ベクトル計算を表現し、実行時にサポートされているCPUアーキテクチャのベクトル命令に確実にコンパイルするためのAPIを導入することで、開発者の生産性向上を支援する。
Javaにおけるポスト量子暗号機能
また、アリムラ氏は「量子コンピュータが実用化される時期について、業界内で必ずしも意見が一致しているわけではないが、従来の暗号方式が時代 遅れになることに備えて、耐量子暗号機能の計画を立てる必要がある」と語った。
同社はポスト量子暗号機能について、TLS 1.3 の導入で得た経験を活用することを計画している。アリムラ氏は「標準化を見たうえで、Javaにバックフォートするアプローチをとっている。Java24では標準のFIPS 203、204に対し、3つのJEPを導入している」と説明した。以下が、ポスト量子暗号機能にまつわる機能だ。
JEP 478:キー導出関数API (プレビュー)
開発者は、転送中のデータに暗号化セキュリティを適用することで、新たな量子コンピューティング環境に備えることが可能。
JEP 496:量子耐性のあるモジュールlatticeベースのキー・カプセル化メカニズム
キー・カプセル化メカニズムは、公開鍵暗号を用いて安全ではない通信チャネル上で対称鍵を保護するために使用する。FIPS 203に準拠したML-KEMアルゴリズムを実装する。
JEP 497:量子耐性のあるモジュールlatticeベースのデジタル署名アルゴリズム
FIPS 204に準拠したML-DSAアルゴリズムを実装する。ML-DSAは、将来的な量子コンピュータ攻撃に対するセキュリティを確保するように設計されている。
Javaは今年後半に30周年を迎えようとしていることから、アリムラ氏は「5月に開催されるJavaOneで誕生日を祝う予定であるほか、さまざまなイベントを用意している」と語っていた。