
石破茂政権の経済政策を巡り、財務省への風当たりが強まっている。東京・霞が関の財務省前では減税実施などを訴える「財務省解体デモ」が行われ、SNS(交流サイト)で拡散しているが、加藤勝信財務相がどこ吹く風とやり過ごしていることもあり、デモがおさまる気配はない。デモは、2025年度予算案成立の焦点である「年収103万円の壁」や高校教育無償化の協議で、国民民主党や日本維新の会の要求に対し、自民・公明両党が財源確保を理由に難色を示す構図が続き、財務省が〝戦犯〟にされている形だ。
2月18日の閣議後会見で、24年通年の名目国内総生産(GDP)が初めて600兆円を超えたことについて、加藤氏は個人消費や設備投資が増加傾向にあるとし「日本経済に明るい兆しが見えてきているという状況だ」と指摘。
「日本経済の成長力を強化すべく取り組む意味でも、25年度の当初予算の一日も早い成立に向け、政府として努力していきたい」とも語ったが、25年度予算案の年度内成立をめぐる与野党調整で加藤氏が「何もしていない」(財務省幹部)というのが政府・与党内の大方の見方だ。
一方、加藤氏は2月26、27日に南アフリカで開かれる20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に関し、国会審議を優先させるため欠席し、代理には斎藤洋明財務副大臣を立てると決めた。
財務省によると、G20副大臣を代理派遣するのは約7年ぶりで、異例の対応だが、財務省内では「国内では出番がないのだから、せめてG20に出席したほうがいいのでは」(主計局)と皮肉る声もある。