3月4日から7日までの4日間、東京ビッグサイトにて第41回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2025」が開催された。

同展示会は、人手不足、消費行動の変化への対応、物流法改正への対応など、流通業に山積している課題を解決する最新の「流通DX」を紹介するもので、流通・小売業向けの情報システムと最新技術が一堂に集う展示会となっている。

同展示会に出展したNECは、顔認証体験やAIコンシェルジュによる次世代接客など、さまざまな展示を行った。

本稿では、その中から「顔認証決済による店舗DXの実現 ~万博でも採用~」「イマーシブ・コマース~新たな購入体験の提案~」の2点について紹介する。

  • リテールテックJAPAN 2025

    リテールテックJAPAN 2025

レジ前に立つだけで決済が完了する「顔認証決済」

「顔認証決済による店舗DXの実現 ~万博でも採用~」の展示では、NECの顔認証技術を用いて、安全性と利便性を兼ね備えた手ぶら決済を実現するサービスの紹介が行われていた。

同サービスは、NECの顔認証技術を活用した決済サービスで、事前に顔情報、クレジットカードなどの必要情報を登録しておくことで、店舗で顔認証決済が行えるというもの。

荷物を持ったままレジ前に立つだけで顔認証での決済を完了させることができ、スマートフォンすら必要としない完全な非接触決済となっている。

  • 利用イメージ

    利用イメージ

顔認証決済の導入メリットについて、担当者は「顔をカメラに向けるだけのスピーディーな決済手段のため決済時間の短縮が可能」「現金・カード・スマートフォンのやりとりが不要のため衛生的」「なりすましが困難なため紛失や盗難のリスクが少ない」「顧客ごとの利用動向の確認が可能」といった点を挙げていた。

同サービスは大阪・関西万博会場内に導入される予定で、対象店舗においては、事前に顔情報と決済方法を登録しておけば、顔認証を行うだけでスマホやカードを使用せずに手ぶらで決済することが可能だ。

  • 実際に万博会場でも使用される端末

    実際に万博会場でも使用される端末

まるで現地にいるかのような「イマーシブ体験」

「イマーシブ・コマース~新たな購入体験の提案~」の展示では、感性に訴えかける没入感のある「イマーシブ体験」で購買・訪問意欲を喚起するサービスの紹介が行われていた。

「イマーシブ」とは、「没入感がある」「没入型の」という意味を持つ言葉。特にバーチャル空間やテーマパーク、映画などエンターテインメントの分野において、リアリティあふれる映像や音響によって没入感をもたらすコンテンツが注目を集めている。

同サービスは遠隔地や実際の店舗の様子を投影、さらにそこで感じられる音や匂いを体験してもらうことで、顧客の購買意欲や現地に訪れてみたいという訪問意欲を刺激することができるという。

サービスの適用例としては、リモート接客やリモート観光、スポーツ観戦、音楽ライブ/アーティストグッズの販売など多岐にわたる。

  • イマーシブ・コマースの活用方法

    イマーシブ・コマースの活用方法

デモンストレーションでは、長野県への観光旅行や特産品であるそばをアピールするためのコンテンツとして、そばの花畑の中にいるかのような映像や、そば屋に行って目の前のそばを打っている様子を見ることができるコンテンツが披露されていた。

デモンストレーションで披露された長野県に関連したコンテンツは、2025年1月に東京の銀座にある長野県のアンテナショップで行った実証実験で使用したもの。今後は今後さらに各業界への展開・応用も検討中とのことだ。

  • イマーシブ・コマースのイメージ(写真は「銀座NAGANO」での実証時のもの)

    イマーシブ・コマースのイメージ(写真は「銀座NAGANO」での実証時のもの)