【国土交通省】「2024年問題」で重要性が増す物流拠点整備

国土交通省は、トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」を背景に、物流拠点の社会的な重要性が高まっているとして、公的な関与や支援を強化する方向だ。

 物流不動産や倉庫、トラックターミナルといった拠点について、立地自治体の産業政策や地域活性化策との連携を強めた拠点の普及を図りたい考えだ。

 近年は、トラックによる長距離輸送を複数の運転手で分担する「中継輸送」の重要性が高まり、大都市圏の間に位置する岩手、静岡、岡山各県などで、民間主導の物流不動産整備が活発だ。半導体関連産業の集積が進む九州でも、大型倉庫を新設する動きがある。物流拠点整備は、雇用創出や地価上昇につながる傾向にある。

 同省は昨年10月、トラックや倉庫、貨物集荷施設の業界団体などと有識者でつくる検討会を設置した。広く物流機能に求められる機能や立地、整備に関する配慮事項などを整理し、今後の普及が見込まれるダブル連結トラックや自動運転トラックといった幹線輸送での新技術実装に対応できる「基幹物流拠点」の整備促進策を議論してきた。

 今年1月にまとめた報告書の骨子案では、支援対象となり得る基幹物流拠点について想定される複数の要件を規定した。運転手の労働環境改善といったトラック輸送の環境変化への対応に加えて、自治体との連携を重視。事業者による物流拠点の整備計画に共同で関与したり、開発許可手続きを円滑化したりして産業振興やまちづくりに結び付けることを念頭に置く。

 また、高速道路などとの良好な交通アクセス性や新技術への対応、次世代エネルギーの活用、防災機能の強化についても盛り込んだ。

 基幹物流拠点に加えて、食料安全保障の観点から輸入に対応した港湾、トラック施設、自治体が開発に関与した物流拠点についても、公共性の高さを認定した。老朽化した施設については円滑な整備や再構築を促進する方向で、優遇措置の検討を今後進める。

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