1月中旬に営業特化AIエージェント「ネオセールス」シリーズの第1弾として、商談獲得AIエージェント「アポドリ」を提供開始したDMM.comのグループ会社であるAlgomatic。今回、事業開発を担う同社 執行役員 ネオセールスカンパニーCEOの池田晴紀氏に話を聞いた。

  • Algomatic 執行役員 ネオセールスカンパニーCEOの池田晴紀氏

    Algomatic 執行役員 ネオセールスカンパニーCEOの池田晴紀氏

Algomaticが提唱する「営業3.0」

まずは、ネオセールスシリーズのおさらいから。同シリーズは、営業活動のサポートに特化したAIエージェントでり、人間の代わりにタスクを実行し、複数のアプリを自律的に使いこなすことで人間が求める成果物の提供を実現するというものだ。

同シリーズでは今後、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど、各領域においてAIエージェントサービスを連続的にリリースを予定している。

  • ネオセールスシリーズ

    ネオセールスシリーズ

同社では営業職の労働環境改善を実現するため、AIと営業パーソンが協働し分業する新たな営業モデル「営業3.0」を掲げている。営業1.0は営業パーソンが顧客に関わるすべての業務を単独で行う。営業2.0はインターネットのビジネス活用の浸透とともに、顧客の購買活動が複雑化し、営業パーソンは顧客に関わる業務を顧客の購買プロセスごとに分業するスタイルとして位置付けている。

池田氏は「従来の営業活動は、顧客とのアポイントから受注後のサポートまで駆けずり回りながら関係構築していました。そこに、インターネットが登場したことで多角的に情報をオンライン上で集約する必要が出てきたということから、マーケティングの重要性が高まり、SaaS(Software as a Service)が台頭してきました」と話す。

続けて同氏は「昨今では、少子高齢化に伴う労働人口の減少もあり、営業の人材を大量に採用することは難しい状況です。Salesforceの調査では営業職の4人に1人が1年以内に離職していることが明らかになっています。2.0のように分業が進むと単純作業が多くなり、労働負荷が上がることでやりがいを感じられなくなり、離職や転職、採用難などが主にインサイドセールス、フィールドセールスの領域で多くなってきています」と指摘する。

AIと相性が良い営業の業務は“人と接しない領域”

そうした状況を踏まえ、同氏は「人材不足の中でAIと相性の良い業務が見えてきています。AIに任せて人が本質的に価値を創出できる領域・業務をシフトし、AIと分業していく組織モデルが今後の主流になっていくべきだと考えています」と説明する。

では、AIと相性の良い業務とはどのようなものなのだろうか。

その点について池田氏は「人と接しない領域ですね。例えば、営業マンは相手方とのアポイント前後に情報を収集し、提案資料に落とし込みますが、この情報収集が活動の80%程度を占めています。具体的なことを言えば、アポイントを取る相手はどの企業の誰がベストなのだろう、またどのような課題を抱えているのだろうと情報を収集して判断します。こうした、作業はすべてAIに置き換えることができると考えており、営業3.0としています」と強調する。

  • 営業1.0~3.0の概要

    営業1.0~3.0の概要

このような考えのもと、同社ではアポドリを皮切りにネオセールスシリーズの開発に踏み切ったというわけだ。その第1弾であるアポドリは、営業パーソンがアポイント獲得に関する活動に取り組む代わりにAIエージェントが各企業専属のインサイドセールス担当として、リスト作成やアプローチ実行、活動管理、活動分析を遂行し、顧客企業のキーパーソンとの商談を獲得・提供するサービス。

  • アポドリの概要

    アポドリの概要

GPT・Claude・Geminiといった複数のLLM(大規模言語モデル)を独自に組み上げることで開発した営業AIモデルとなっている。

実際、足元での引き合いも良く、問合せ自体も現状では多くあり、池田氏は「2~3年後には1000社程度への導入を見込んでいます」と述べている。

  • 池田氏

    池田氏

ネオセールスシリーズは2025年中をめどにリード獲得の「コンテンツ作成AIエージェント」、商談実施の「提案強化AIエージェント」、契約後サポートの「顧客フォローAIエージェント」と続々とソリューションのリリースを予定しており、同シリーズの今後に期待したい。