ブリヂストン、ENEOSマテリアル、日揮ホールディングス(日揮HD)の3社は2月5日、植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向けた3社連携を加速することを明らかにした。
現状、合成ゴムの素原料であるブタジエンは、石油製品のひとつであるナフサを熱分解した際の副生成物として工業的に生産されている。ブリヂストンとENEOSマテリアル、そして日揮HDの3社は、2022年より各社の経営ビジョンに共通する持続可能な社会の実現に向け、植物資源由来のバイオブタジエン、およびタイヤ用合成ゴム製造の基礎的な技術検討や市場調査を進めてきた。
そして2024年、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオものづくり革命推進事業」に、ENEOSマテリアルおよび日揮HDの2社が参画する「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」が採択された。これを受け、ブリヂストンを加えた3社では、植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向け、“植物資源由来のバイオエタノールより得られるバイオブタジエンの製造”、“バイオブタジエンを使用した合成ゴムの製造”、“合成ゴムを使用したタイヤの開発”という3つの取り組みを促進するとのことだ。
なおこの取り組みにおいて、ブリヂストンは、植物資源由来合成ゴムを使用したタイヤの開発を担当。ENEOSマテリアルは、植物資源由来バイオブタジエンおよび合成ゴムの製造を行い、日揮HDは、植物資源由来バイオブタジエンの製造におけるプロセスエンジニアリングと触媒開発を担当するという。
3社はこの取り組みにより、タイヤ原材料のサステナビリティ向上や将来的なブタジエンの安定確保への貢献が期待できるとする。また、植物資源由来の合成ゴムを使用することで、タイヤの廃棄・リサイクル段階でのCO2にも貢献するとした。そして今後は、2030年代前半の商業化を目指し、3社で2028年までにパイロット装置による植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの技術実証を開始するとともに、その合成ゴムのサプライチェーン構築に向けた検討や、それを使用したタイヤの社会価値・顧客価値に関する検証を進めるとしている。