KDDIは2月5日、取締役執行役員常務CDO(Chief Digital Officer)の松田浩路氏が4月1日付で代表取締役社長 CEO に就任予定であることを発表し会見を開いた。現社長 CEOの髙橋誠氏は同日付で代表取締役会長に就任する。また、現会長の田中孝司氏は6月開催の定時株主総会で取締役を退任し、非常勤の相談役に就任予定。
7年ぶりの社長交代、髙橋氏は会長へ
髙橋氏は2018年に社長に就任、それ以来、2020年3月期からの3カ年および2023年3月期からの3カ年にわたる中期経営計画を実行してきた。後者は新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受けて計画が1年後ろ倒しとなっており、2026年3月期までの計画に延伸されている。
髙橋氏は「通信業界は大きく変化する中、5Gやスマートフォンを中心に発展している。すべてのものに通信が実装され、すさまじいスピードで生活を変えている。5Gの次のAI時代において会社をけん引するのは、技術の経験が豊富でグローバルパートナーとも臆することなくビジネスを構築できる人材と考えており、松田が適任。現行の中期経営計画の最終年度を着実に実行するとともに、2026年度3月期からの次期中期経営計画の策定を新体制で進めてほしい」と、社長交代に対する思いを語った。
また、同氏は松田氏について「技術者でもあり、ストイックに物事に取り組む姿勢を持っている。同時に、新しい物事に対する貪欲な開拓姿勢も持っている。今後はグローバルパートナーとの共創が重要になるので、この姿勢を認めて次期社長を託したい」と評していた。
新社長の松田氏は「挑戦者たる姿勢で臨む」
新社長に就任予定の松田浩路氏は、1971年山口県出身。1996年3月に京都大学大学院 工学研究科修士課程を修了し、4月に前身の国際電信電話に入社した。その後、エンジニアとしてキャリアをスタートした。以降も高速モバイルインターネットの技術開発や商品開発のキャリアを積んだ。2024年4月からは取締役執行役員常務 CDO(Chief Digital Officer) 先端技術統括本部長 兼 先端技術企画本部長を現在まで担当している。
同氏は「社長のバトンを引き継ぐことに、大変身の引き締まる思い。5Gが本格期を迎え、AIをフル活用する時代が訪れている。当社のデジタルデータ資産は、先端的なAI技術によって新しい価値を創造する原動力となる。『つなぐチカラ』を新次元にアップグレードし、事業に昇華していくことが私の責務だと考えている。挑戦者たる姿勢を持って進めたい」と、社長就任に対しコメントした。
さらに、自身のこれまでのキャリアについては「当社がもともと関係を持っていたアップル、グーグル、クアルコムに加え、スペースXとの提携を実現できたことは大きな自信につながっている。また、社内の部門を横断して推進したデータドリブンプロジェクトによって、CX(顧客体験)とともに社内のDXを進めたことも印象に残っている」と振り返った。
ちなみに、松田氏が大切にしている言葉は「準備万端」「用意周到」「先手必勝」だそうだ。いつ何が起こるか分からない時代だからこそ、万全な準備をしておくことでチャンスを呼び込みたいという。