三菱電機は1月30日、同社欧州法人のMitsubishi Electric R&D Centre Europe(三菱電機欧州R&Dセンター)を通じて、EUの研究・イノベーションプログラム「Horizon Europe」の中で、革新的なパワー半導体モジュールおよびその状態監視技術の開発や、これらによる再生可能エネルギーを用いた発電システムのコスト効率化の検討を行うプロジェクト「FLAGCHIP」に参画し、パワー半導体モジュール内部の半導体チップの温度を推定する技術の実証に向けた試験機の製作を開始すると発表した。

  • 「FLAGCHIP」プロジェクトの概要

    「FLAGCHIP」プロジェクトの概要 (出所:三菱電機)

パワー半導体モジュールは、半導体チップとパッケージ基板を電気的につなぐボンディングワイヤーの接合部(ワイヤー接合部)に、通電時の温度変化によって機械的な疲労が蓄積することが劣化の一因となるため、ワイヤー接合部近傍の半導体チップの温度変化を把握することが劣化状況の推定につながるとされている。

同社はチップ表面に配置された温度によって抵抗値が変化する電気抵抗(内蔵ゲート抵抗)を利用して、ゲート電流を印可して得られる電圧値を測定して内蔵ゲート抵抗の電気抵抗地を算出し、そこから半導体チップであるSiC-MOSFETの音頭を正確に推定する技術を有している。この技術はパワー半導体モジュールに温度センサを組み込んだり、複雑なシステムを構成することなく簡易なシステム構成で温度の推定を可能とする特徴を有しており、同プロジェクトでは、同技術の実証試験用に製作する試験機を用いて、プロジェクトパートナーである、仏SuperGrid Instituteが提供する風力発電システム向けDC/DCコンバーターの試験設備で実証試験を実施。そこから得られた半導体チップの温度推定結果を、英ノッティンガム大学が担当するパワー半導体モジュールの劣化推定技術へと応用することで、状態監視技術の実用化に向けた開発につなげることを目指すという。

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