Microchip Technologyは1月27日(米国時間)、第2世代の低ノイズ チップスケール原子クロック(LN-CSAC)「SA65-LN」を発表した。

同製品は、SWaP(サイズ、重量、消費電力)の制約が重要な航空宇宙/防衛アプリケーションに向けた低ノイズタイミング デバイスで、独自開発のEMXO(真空小型水晶振動子オシレータ)技術をチップスケール原子クロック(CSAC)に組み込む事で、-40℃~+80℃の動作温度範囲で295mW未満の消費電力を維持しながら厚さ1.27cm未満という薄型化を実現したという。

EMXOは10Hzで-120dBc/Hz未満の低位相ノイズと1秒の平均化時間で1×10-11未満のADEV(アラン分散)安定度を実現する一方、原子クロックは±0.5ppbの初期精度、0.9ppb/mo未満の周波数ドリフト性能を実現し、温度による最大誤差±0.3ppb未満を実現。これらの特長により、LN-CSACは2つのオシレータを使った設計と比較して基板面積、設計時間、全体的な消費電力の削減が可能となり、同社では移動式レーダーや可搬型無線機、可搬型IED妨害システム、自律型センサ ネットワーク、無人車両などの航空宇宙/防衛アプリケーションの高性能化が可能になると説明している。

また、同製品の水晶信号の純度と低位相ノイズは周波数のミキシングに不可欠な高品質なシグナルインテグリティを確保するように設計されており、原子レベルの精度によって校正間隔が長くなるため、ミッション期間を延長し、保守の必要性を低減できる可能性があるともしている。

なお、同製品はすでに量産受注を開始しており、開発には同社のクロックの機能の切り換えと動作パラメータのプロットを簡単に行えるようにするGUIである「Clockstudio」が利用可能で、開発キットも用意済みだという。

  • LN CSACのパッケージと適用イメージ

    LN CSACのパッケージと適用イメージ (提供:Microchip)