OKIは1月20日、物流拠点や工場にて保管された製品や設備品などの位置情報をスマートフォンとQRコード・RFタグなどの活用により簡単に追跡し、紛失防止や物流作業の効率化に貢献するロケーション・在庫管理システム「SHO-XYZ(ショザイ)」を、3月より販売することを発表した。
これに際し同社は記者説明会を開催。月額5万円から導入可能な低価格サービスに対するこだわりや、将来的なサービス発展の展望を、デモンストレーションを交えながら説明した。
人手不足の影響がのしかかる物流現場の物品管理システム
物流業界を悩ませる「2024年問題」は、2025年を迎えた今でも変わらぬ課題として重くのしかかっている。トラックドライバーなどの人手不足は深刻なままで、それに影響される形で倉庫などの物流拠点における作業者も不足傾向にあるという。
また倉庫や製造業の現場などモノを保管する業務においては、保管場所の管理業務が属人的になりやすく、記録漏れや誤登録などの人為的ミスによって物品の紛失などが発生している。特に小規模拠点では“記憶頼み”での管理を行っていることも多く、必要なモノの捜索に時間を取られ出荷業務の遅れが発生するケースが発生していたとする。さらに、人手不足の影響から外国人労働者も増えていることから、言語の壁がさらなるハードルになっていたとのこと。そのため、言語の壁を超えてミスのない運用を実現するロケーション管理システムの実現が必要とされていた。
2023年に策定した「イノベーション戦略2025」の中で、将来事業の創出に向けた新規領域の1つに“物流”を挙げているOKIは、先述した社会課題の解決に向けたソリューションの開発に着手。特に、“削減すべきコスト”と見なされがちなロケーション・在庫管理システムの導入を広げることを見据え、中小規模の事業者でも導入が可能な低コストでのサービス実現を目指したとする。
導入コストを抑えつつカスタマイズ性を向上
今回発表されたSHO-XYZは、倉庫などで保管しているモノの所在を“3次元”で簡単に追跡できる仕組みとして命名されたといい、またアルファベット最後の3文字を並べることで“モノを探す最後の砦”という意味も持たせたとのこと。OKIはこのサービスを通じて、OKIは「最適なテクノロジーをリーズナブルに」「倉庫形態/搬送手段によらず位置追跡が可能」「離れたら自動で登録」という3つのコンセプトを提案している。
会見に登壇した吉原氏は、特に「リーズナブルなサービスを実現している」点を強調した。SHO-XYZでは、安価での実装を実現するため、機器としてはスマートフォンやビーコン、RFタグおよびRFIDリーダーなどを用い、QRコードも活用。大型・高価な機器を新たに導入する必要が無いとする。
サービスの基本機能としては、まず物品入荷時にスマホカメラを用いて入荷登録を実施。この時に必要に応じてRFタグを設置したり写真情報を紐づけたりと、柔軟な運用が可能だ。その後、手動モードでは物品を置いた商品のロケーション情報を紐づけ。RFタグを用いる場合には、RFIDリーダーとの接続状況から荷物位置を自動で追跡し、設置場所を管理する。そして、出荷に際しては対象の物品をスマホ上で検索。出荷の際にも柔軟な運用が可能だといい、将来的にはその出荷処理もRFタグを用いて自動化できる見通しとのことだ。
なお、現場作業者が使用するスマホの操作画面はユニバーサルデザインを重視。倉庫内の地図を参照しながら主要機能を手軽に用いることができるとともに、外国籍作業者でも直感的な使用が可能で、さらにユーザーIDごとに言語設定も可能であるため、多くの作業者を抱える現場でも効率化に貢献できるとしている。
「3年間で1000拠点での導入」を目指すOKI
SHO-XYZの効果を増大させる自動測位機能の導入に必要となるのは、屋内の位置情報を取得するためのビーコンや読み取り用のスマホなど。床面用RFタグを組み合わせて用いることもでき、顧客の使用環境に合わせて低コストでの導入が可能だとする。また、棚やパレットにRFタグを取り付けることでより効率的な運用も可能な点も強みだとしており、OKI社内での検証では75%もの業務改善効果が得られたとした。
同サービスの標準価格は1か月あたり5万円で、図面の追加や利用者IDの追加などオプションサービスの利用によって料金が追加される仕組み。柔軟性を持たせたサービス仕様とすることで、幅広い顧客のニーズに応えられるという。なおサービスの販売開始は3月を予定し、今後もバージョンアップデートを重ねながら機能改善を続けていくとしており、販売目標としてOKIは、2028年度までに累計13億円という数字を設定した。また吉原氏は、「代理店による販売も行いながら、リリース後およそ3年以内に導入が1000拠点を超えられるよう、事業を進めていく」と話した。