リコーは、A3カラー再生複合機の新製品として「RICOH IM C4500F CE」および「RICOH IM C3000F CE」を1月21日に発売することを発表。従来は“RC機(リコンディショニング機)”として販売していた再生機ラインナップについて、“CE機(サーキュラーエコノミー機)”に名称を変更することを併せて発表した。
これに際し同社は記者会見を開催し、リコーとしての再生機ビジネスの位置付けおよび取り組みについて説明するとともに、部品リユース率を高めた新製品の強みを紹介した。
「コメットサークル」を礎に再生機ビジネスを推進するリコー
リコーは1994年、循環型社会の実現に向けたコンセプトとして、同社グループの領域にとどまらず産業の上流・下流を含めた製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減することを目指すという「コメットサークル」を制定した。この指針の下で事業を展開し続けるリコーは、現在の中期経営戦略において、財務面での目標を達成するための事業成長に並ぶ形で、3~10年後の財務に好影響を与える16ものESG目標を設定しているという。
複合機の再生ビジネスにおいては、使用済み製品の再利用に向けた回収品選別基準書運用標準を1999年に制定するなど、仕組み作りからスタート。そして全国22拠点の回収センターや8拠点の再生/リサイクルセンターを整備するとともに、再生機の提供を後押しする技術や管理システムを確立するなど、事業としての収益性向上に取り組んできたリコーは現在、高品質の再生機を地産地消の形で提供する体制の構築に着手している。またその生産体制についても、リユース拠点である御殿場事業所では各工程で無人化やロボット活用を進めており、事業強化に向けた動きを続けているとする。
そしてリコーデジタルプロダクツビジネスユニット WP事業本部の成海淳事業本部長は、モノづくりをリニアな状態からサーキュラーエコノミーへと変えていくために取り組んでいる変革として以下の3つを挙げた。
リコーが推進する3つの変革
- 循環型モノづくりへの転換(設計・生産)
- 再生ビジネスの価値向上(販売)
- 循環型エコシステムの構築(回収・生産)
これらの変革を進めるための取り組みを続けることで、ビジネスとしての基盤を固めるとともに、さらなる成長にもつなげていかなければいけないとしており、循環型社会の実現に向けて社会全体を巻き込んでいく必要があると語る。
中古品ではなく“新品同様で環境にも貢献する製品”に
こうした取り組みを進めるリコーが、そのターニングポイントとなる製品として今般発表したのが、“環境循環型複合機”を銘打つRICOH IM C4500F CEおよびRICOH IM C3000F CEだ。同製品は、再生機でありながら中古品ではなく「新品同等の品質基準を満たす機械」としての認知拡大を目指しているとする。またこれまではRC機と呼称されていた再生機について、今回の製品以降は循環型社会の実現を見据え“CE機”へと名称を変更するとのことだ。
環境性能の面では、顧客との対話を重ねたうえで外装部品の再利用率向上や色差基準などの見直しを行い、部品リユース率を平均およそ86%まで向上。また循環型エコ包装なども採用しているといい、製品ライフサイクル全体での環境負荷も、新造機に比べ約59%低減させているという。加えて有償サービスとして、複合機のライフサイクルで生じるCO2のオフセット証明書を発行する「RICOH カーボンオフセットサービス」も有償で提供可能で、企業活動における環境への取り組みに貢献するとした。
一方で複合機としての性能面では、「RICOH Always Current Technology(ACT)」を再生機として初搭載。ソフトウェアのアップデートをネットワーク経由で行え、顧客それぞれの業務に合う機能やアプリケーションを手軽に追加できるといい、随時の機能アップデートが可能であるため新造機と同様の操作性を発揮できるとする。
なお、新製品2機種の発売は1月21日だといい、オープン価格と発表されているものの、新造機に比べ大幅に安価での販売になるとのこと。リコーグループとしては今後も事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとしたうえで、国内外でそれを実現するために業界のさまざまなプレイヤーとも協力・連携していく姿勢を見せた。