アークエッジ・スペースは1月15日、同社が2021年度より開発を進めてきた6U衛星の汎用バス「AE1c」および「AE1d」の2機が打ち上げられ、試験電波による通信確立を経て運用を開始したことを発表した。

2機の小型衛星は同日4時9分(日本時間)に、ほかの衛星と併せてSpace XのFalcon 9によって打ち上げられ、所定の軌道に投入。その後、同社が保有する牧之原地上局にて試験電波による通信を確認したという。

打ち上げられた2機の衛星は、数か月の初期運用を行った後、それぞれのミッション部に設定されたサクセスクライテリア(成功判断基準)の達成を目指していくことになるほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(超小型衛星の汎用バスの開発・実証支援)/迅速かつ効率的な多種類複数機生産を実現する6U標準汎用バスとその生産・運用システムの開発・実証」の一環として、10kg級の6U衛星の標準汎用バスシステム、量産システム、および複数衛星の自動運用システムを構築するとともに、2025年度までにこれらのシステムを利用した7機の衛星からなる多目的衛星コンステレーションの軌道上実証を行う予定となっており、現在、先行して運用を開始した「AE1b(YODAKA)」と併せて7機中3機が軌道上で運用を開始したこととなる。

  • AE1cとAE1dの外観

    アークエッジ・スペースが打ち上げ・運用を開始したAE1cとAE1dの外観 (提供:アークエッジ・スペース)

AE1cは6U衛星汎用バスの「基本モデル」を利用しており、その基本機能と標準搭載のIoT通信機能に加え、3Uの縦型ミッション部には同社が展開するホステッドペイロードサービスを利用する顧客のコンポーネントが搭載されており、その軌道上でのペイロード実証も予定されているとする。また、先行するAE1bも基本モデルであり、2機の基本モデルを軌道上で運用することで、安定したホステットペイロードサービス展開に向けた運用・データ蓄積も行うとしている。一方のAE1dは、6U衛星汎用バスの「大型アンテナ搭載モデル」の実証を行う予定で、具体的には同社が展開する「VDES(VHF Data Exchange System、海洋向け通信)」事業向け展開アンテナの実証、およびVDES受信機の要素技術実証を行う予定としている。

なお、残り4機の衛星については、2025年第1四半期と第4四半期にそれぞれ2機ずつ打ち上げられる予定となっている。

  • 025年1月時点の打ち上げスケジュール

    2025年1月時点の打ち上げスケジュール (提供:アークエッジ・スペース)