1月14日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2024年の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では9901件/2兆2197億8000万円、東京商工リサーチの発表では1万6件/2兆3,435億3,800万円となっている。
2024年の倒産件数は、帝国データバンクのデータでは前年比16.5%増、東京商工リサーチのデータでは前年比15.14%増となっており、いずれも大幅増を記録している。
帝国データバンクの調査結果
2024年の全国企業倒産の件数は9901件(前年8497件、16.5%増)と、前年を1404件上回る結果となった。3年連続で前年を上回ったほか、2013年(10332件)以来の1万件に迫り2014年(9180件)以降で最も多くなったという。
負債総額は2兆2197億8000万円(前年2兆3769億300万円、6.6%減)で、3年連続で2兆円を超えた。2024年は、負債額の約3割を占めたMSJ資産管理(旧:三菱航空機)、6413億円〉をはじめ、負債100億円以上の倒産が10件発生した。
業種別では、7業種中6業種で前年を上回った。なかでも、サービス業(前年2099件→2547件、21.3%増)が最も多く、これに、小売業(同1783件→2087件、17.0%増)、建設業(同1671件→1890件、13.1%増)が続いた。
地域別では、2年連続で全地域が前年を上回り、北海道を除く8地域が過去10年で最多となった。最も件数が多かったのは、関東(前年3066件→3442件、12.3%増)で、うち東京(同1549件→1758件)が前年を大幅に上回ったという。
注目の傾向としては、飲食店の倒産が過去最多となったことが挙げられている。2024年の倒産件数は894件で、前年(768件)比で16.4%増加。2020年(780件)を上回って過去最多を更新したとのこと。
業態別(11業態)で最も多かったのは居酒屋を主体とする「酒場、ビヤホール」(212件)で、ラーメン店などの「中華料理店、その他の東洋料理店」(158件)、「西洋料理店」(123件)がこれに続き、いずれも過去最多となった。
東京商工リサーチの調査結果
2024年の全国企業倒産件数(負債総額1,000万円以上)は、1万6件(前年比15.1%増)となった。3年連続で前年を上回り、2013年の1万855件以来、11年ぶりに1万件を超えた。8月に29カ月ぶりに減少したことが影響し、増加率は前年(35.1%増)より縮小したという。
対する負債総額は2兆3,435億3,800万円(同2.4%減)だった。3年連続で2兆円台に乗せたが、負債1,000億円以上がMSJ資産管理(旧:三菱航空機)の1件(前年2件)にとどまり、3年ぶりに前年を下回ったという。
負債総額上位5社は、MSJ資産管理(6,413億円、特別清算)、エクシア(850億円、破産)、BALM(831億円、民事再生法)、船井電機(469億6,400万円、破産)、シニアコネクテッドテクノロジーズ(279億円、破産)。
四半期では、2022年4-6月期から2024年10-12月期まで11四半期連続で前年同期を上回り、企業倒産の増勢が鮮明になったという。同社は倒産が増えた背景について、「2024年は円安基調に乱高下が続き、物価上昇に歯止めがかからず、人手不足や最低賃金の引き上げなどで人件費も上昇し、幅広い分野でコストアップに見舞われた。また、コロナ禍の資金繰り支援で生じた過剰債務の解消が遅れ、企業収益に負担となって圧し掛かった」との見方を示している。
産業別では、農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の10産業のうち、金融・保険業、不動産業を除く8産業で前年を上回った。
最多はサービス業他の3,329件(前年比13.2%増)で、3年連続で前年を上回り、1990年以降では、初めて3,000件台に乗せた。2024年4月から時間外労働の上限規制が適用された、いわゆる「2024年問題」に直面した建設業が1,924件(同13.6%増)で3年連続、運輸業が457件(同9.8%増)で4年連続で、それぞれ前年を上回った。
地区別では、2年連続で北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区すべてで前年を上回った。
北海道280件(前年比4.0%増)と東北568件(同30.8%増)、関東3,625件(同12.1%増)、近畿2,605件(同18.0%増)、中国450件(同14.7%増)、九州884件(同22.9%増)が3年連続、中部1,186件(同7.0%増)と北陸204件(同27.5%増)、四国204件(同20.7%増)が2年連続で、それぞれ前年を上回った。