Wireless Power Consortium(WPC)は、ワイヤレス充電の最新規格「Qi2」を拡張し、自動車業界向けの「Active Alignment Power Profile」(APP)規格を策定。その基礎技術に、パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)による独自のムービングコイル技術を採用したと、米国時間1月6日に発表した。CES 2025のWPCブースで、世界初のAPP規格対応モデルを展示する。
WPCがCES 2025にあわせて、Qi2の拡張機能として発表したのは、前出の「APP」規格と「Qi2 Ready」(後述)のふたつ。いずれもQi2標準規格の最新アップデートである、Qi v2.1として提供する。
「APP」規格の基礎技術に採用された、PASのムービングコイル技術は、独自のアルゴリズムでスマートフォンなどのデバイス側のコイルを自動的に検出して充電器側のコイル位置を合わせ、充電位置決めの精度を向上させるというもの。車載純正CD/DVDデッキで培った光ピックアップ技術を活用したもので、既に国内外のさまざまな自動車で採用例があるという。
Qi2の拡張規格となるAPP規格は、Magnetic Power Profile(MPP)、Extended Power Profile(EPP)、Baseline Power Profile対応デバイスとの互換性を持たせており、MPPやEPPに対応するデバイスには最大15Wの急速充電が行えるとのこと。充電器側のムービングコイルの高精度な位置合わせ技術により、現行のマグネット方式と同等レベルの位置合わせ精度を追求しており、スマートフォンのマグネットの有無や対応規格に関わらず、高い充電効率を提供できるという。
なお、WPCは現行のQi2について「Qi2の採用が飛躍的に拡大している」とアピールし、世界中で15億台以上のデバイスが利便性向上や充電の高速化、効率性向上といった恩恵を受けていると説明。
2023年秋にQi2デバイスの展開が始まった当初は、iPhoneの一部機種がサポートしていたが、WPCでは2025年中にもQi2内蔵のAndroidデバイスが普及を加速させると見ており、主要メーカーのひとつであるサムスン電子のコメントとして「Galaxyから、Qi2対応のAndroidデバイスが登場するだろう」と紹介。またGoogleは、「今後のQi v2.2規格の開発で主導的な役割を果たす。この規格には、Google独自の高電力ワイヤレス充電技術のWPCへの提供も含まれる」と表明している。
ほかにも「Qi2 Ready」と呼称する認定デバイスの導入も明らかにしており、スマートフォンとケースなどのアクセサリを承認された組み合わせでペアリングすると、“完全なQi2ユーザーエクスペリエンス”を提供するものと説明している。